弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2012年5月27日

ニッポン異国紀行

社会

著者    石井 光太、 出版   NHK出版新書

 日本という国を通常とは違った視点でとらえることのできる本です。
 現在、日本に210万人ほどの外国人が暮らしている。そして年間に6000人の外国人が亡くなっている。その遺体を海外へ搬送するときには、感染症予防のため、遺体に対して腐敗防止処置をしっかりと施し、その証明書をつける必要がある。これをエンバーミングと呼ぶ。
 1日に20体ほどの遺体が日本から海外に搬送されている。あなたの乗る飛行機には、実は、一緒に遺体が積まれていても何ら不思議ではない。
 その費用は韓国だと2~30万円、中国へは60~80万円、欧米へは70~120万円、東南アジアへ70~90万円、中東は100~140万円、アフリカ100~200万円。こんなにかかる。
このほか、日本の風俗産業への韓国人女性や東南アジアの女性の進出状況、さらには、日本の中古車の海外への輸出状況なども紹介されています。
 日本と海外との結びつきは本当に多面的だと思い知らされる本です。著者の体当たり取材はすごいものです。海外だけでなく、日本もターゲットにしたところがすごいと思いました。
(2012年1月刊。860円+税)

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