弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2011年10月28日
原発はいらない
社会
小出 裕章 、 幻冬舎ルネサンス新書
著者は安全な原発などないと断言しています。
全国各地にある原発は、地震や津波とは無関係に、しばしば事故を引き起こしている。それは設計自体にミスがあったり、操作についての人為的ミスなどによる。
そうなんですよね、玄海原発でもつい最近、人為的ミスと思われる事故が発生しています。事故が起きてしまったら、もう人間の力ではどうしようも出来ないのが原発、そして、核の恐ろしさです。
安全な原発などない。すべての原発は危険。だから、原発の運転即時停止を求め続けている。
私も大賛成です。エネルギー政策をどうするこうするという議論のまえに、大人も子どもも、そして日本列島に将来にわたって安心して住めるようにするためには、「ノー原発」の声を大きくするしかありません。
原発は、東京や大阪、そして福岡市内につくることは認められていない。なぜか? これは原発が危険なものであることが国も分かっているからだ。
まことにそうなのですよね。でも、原発事故の恐ろしさは今回の福島第一原発が証明しました。放射量からすると、福島市内から、少なくとも子どもは全員疎開・退避させるべきだという専門家の指摘があります。東京だって、3月15日には放射能雲に覆われていたことが今では判明しています。人口の少ない田舎につくったから大都会は安全だ、というわけにはいかないのです。
福島第一原発の周辺でプルトニウム238が検出された。これは原子炉がかなり初期にメルトダウンしていたことを示している。それを政府が発表せずに隠していたため、大量の住民が放射能を被曝してしまった。なんと恐ろしいことでしょう。内部被曝したところで、すぐに異常がでることはない。しかし、長期的にみるとがんを発生するリスクが高まるのは明らか。
子どもは大人の4倍もの放射線の感受性があるので、20ミリシーベルトを被曝することは80ミリシーベルトを被曝するのと同じこと。これでは、子どもたちに将来、きみはがんになる危険性が高くなるけど、仕方ないんだと言っているのに等しい、とても冷酷な仕打ちだ。
子どもを守るには、大人が責任を果たすしかない。大人は福島産の食品を食べ、子どもは九州産の食品を食べることも考えるべきだ。
ふむむ、本当に事態は深刻なんだと痛感させられる本です。今のまま誰かが何か、どうにかしてくれるだろうなんて考えは、この際、きっぱりと捨てるべきです。
福岡でいうと、やっぱり玄海原発ですよね。九州電力の支配する九州の政財界の横暴を黙って見過ごすわけにはいきません。これだけ重大な事態をひき起こしていながら、やらせメールが発覚しても社長も会長も責任をとらないなんて許せませんよね。
(2011年7月刊。838円+税)