弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年10月26日

婚活したらすごかった

社会

著者  石神  賢介    、 出版  新潮新書   

結婚願望があるのに結婚できない男性、そして女性が伴侶を見つけるのがいかに難しいことか、この本を読むと実感として分かります。
 2010年から、50歳未満の男性の8割が年収400万未満。結婚しても夫の収入だけでは子どもを育てるのが難しい時代。夫婦二人で毎日働いて、やっと子ども一人を育てられる。家族をつくることに夢を持ちづらくなり、男性も女性も結婚願望はありながらも、よほど魅力を感じる相手でない限りは結婚に踏み切らない。
 ネット婚活は、インターネットのサイトを通して男女が知り合うサービスだ。サイト上にプロフィールを掲載し、連絡もサイトを経由して行う。このサービスは、忙しい男女に向いている。
 婚活サイトは、どこも人間と会話をせずに申し込みができるので、ネットショッピングで本や雑貨を購入するときに近い感覚で申し込める。婚活パーティーにくらべてプライドが傷つかないというメリットがある。
女性は収入を重視している。男はとにかく年収が高ければ人気がある。
 海外駐在、もしくは海外駐在の可能性がある男性は人気が高い。女性は外国好き。
ほとんどの男性は女性の収入を気にしない。その大切な条件はなにより容姿だ。また、若い女性が好き。
 婚活サイトによっては、写真掲載にはよく考えられたシステムがある。自分が顔写真をのせたら、異性のプロフィールの写真を見れる。自分がのせないと、相手の顔も見れない。
 ネット婚活で会えるところまでたどり着くのは5人に1人くらい。
食事をしたら、自分と会うかどうかはだいたい分かる。チェックポイントは、食べ方が下品ではないか、お金の支払い方がきれいか、一緒にいるときお互い自然に会話がかわせるか、そして婚活サイトで真剣に結婚相手を見つけようとしているか、など。なーるほど、そうですよね。
 婚活パーティーの多くは、2時間の枠がある。ほとんどのパーティー会社は原則として途中帰宅を許さない。まず、一人と話す時間は2分間。ええっ、短すぎでしょ・・・・。
 男はメモをとるスキルが著しく低い。まるで回転寿司のよう。女性は回ってくるネタを選ぶ客。男は選ばれるのを期待してまわるネタ。時間とともに鮮度が失われていく。むふっ・・・・。
 会費が安いパーティーは、安いなりの男女が集まる。タダだから参加しようと言う人は絶対的に真剣度が低い。会費が高いほうが安心感がある。それでも婚活パーティーの質は向上している。それは、婚活パーティーが乱立した90年代から10年たって、質の悪い会社や費用対効果の低い会社は淘汰されたことによる。
 周囲の目を気にせず、婚活ができる世の中になった。切迫した結婚難が、婚活パーティーの現場の充実につながった。
 婚活パーティーは、ネット婚活と比べると幅広い年齢の女性と知り合える。
 著者の体験によると、若い女性のほうが素直で、年齢を重ねるごとに扱いが難しくなる。
 日常のなかの出会いであっても、婚活パーティーであっても、ネットであってもベッドの関係までいかなくては、結婚まで到達できない。そのプロセスを省いて結婚の判断をすると、その後に予想外の何かで苦しい思いをする心配がある。なーるほど、それはそういうこともあるでしょうね。結婚したら、毎日の生活をともにするわけですからね。
婚活パーティーでうまくいくようになると、日常生活での男女の関係のスキルも上がることになる。
 結婚相談所は、たとえば会費は1年目30万円、2年目からも同額だが、2年目からは途中で退会すると、月割りで返還される。ふむふむ、これって合理的なシステムなのでしょうね。
 会員同士で結婚すると、20万円の成婚料が必要だ。
女性会員のほとんどは迷うのに対して、男性は即決することが多い。
 結婚するための三つのポイント。第一に、歩み寄ること。自分の理想とする相手は存在しないという前提で女性と向きあう。第二に、今からでも遅くないことを信じて、自分の商品価値を上げること。たたかえない男に、女性は本能的に興味をもたない。第三に、自分に合った婚活のツールを利用する。
 婚活の実際、その現場の様子がよく分かりました。著者にエールを送りたいと思います。がんばれ、くじけないで・・・・。
 
(2011年9月刊。700円+税)

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