弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年10月 1日

KARA、少女時代に見る韓国の強さ

朝鮮(韓国)

著者   朴  倧玄 、 出版  講談社α新書

 テレビを全く見ませんし、歌謡曲を聴くこともない私ですが、活字を通して、いま日本で韓国の少女そして男性芸能人が大いにもてはやされていることは知っています。その秘密を知ろうと思って読んでみました。
いやあ、韓国人って芸能人を育てるのに長い時間そして莫大な手間とひまを(もちろんお金も)かけているのですね。驚いてしまいました。
 そして韓国の高校生の唯一の楽しみが遠足であり、そこでクラス対抗の歌と踊りを披露して日頃のウサ(ストレス)を発散させるというのです。日本以上に韓国では苛烈な受験戦争がまかりとおっているとのこと。韓国は日本以上の学歴社会。試験は年に1回だけで、応募できるのも3校まで。高校から大学に持ち上がるシステムはない。
韓国では、人気のある歌手の踊りを男女を問わず、すぐに「ものまね」する。それもお笑いまじりでやって、大喝采を受ける。
芸能事務所の練習生期間は長い。たとえば少女時代のユナは5年2ヶ月をそこで過ごした。うひゃあ、5年あまりもの練習生なんて、とても信じられません。よくぞ若いなか我慢したものです。
少女時代には、短くても3年、長いものは7年もの練習生時代を送ったメンバーがいる。韓国では、芸能事務所の練習生が1000人いて、そのなかで実際に歌手としてデビューできるのは、毎年4~5グループ、20~30人ほど。これは厳しい選抜ですが、スターになるには当然のことなのでしょうね。
 韓国には、芸能人になりたいと思う子が、日本以上に多くいる。芸能事務所が練習生一人にかける費用は、トレーニング費、車両維持費まで含めると、毎月15万円。整形・美容に要する費用まで含めると年間250万~290万円。練習生の平均を5年とすると、一人あたり1500~2200万円かかる。すごいですね。元を取り戻したくもなりますよね。
東方神起がデビューするまで、練習生一人当たり145万円の費用がかかり、平均の練習期間が5年だとすると一人3700万円が投資された。
宿舎購入費、CDやミュージックビデオ、衣裳などの制作費をふくめると、デビュー前に1億4000万円ほどかかった。それにマーケティング費用までかけたら、東方神起は5億 9000万円のプロジェクトだった。そして、5年間の売上高は36億円。それまたすごいですね。
日本ではAKB48のようにデビューしてから人材を徐々に育てていく。韓国では、莫大な投資と練習生時代に厳しい競争をくぐり抜けてアイドルが生まれてくるので、すでに踊りも歌もうまい。
 韓国のアイドル・グループの多くは、練習生時代だけでなく、デビューしてからもひとつのマンションで合宿生活を送る。この合宿生活こそ、世界で活躍するパワーの源となっている。
日本人は、電車やバスの中でも本を読む。韓国人は、日本人ほどには本を読まない。韓国人は、女も男も整形手術を平気で受ける。韓国では普通にスターは自分の肉体を見せ、ファンと視聴者はそれを見ながら喜ぶ。
似てるようで違いのたくさんある韓国について知ることができました。

(2011年5月刊。838円+税)

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