弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年4月29日

日本のロマネ・コンティはなぜ「まずい」のか

ヨーロッパ

著者   渡辺 順子、 出版   幻冬舎ルネッサンス新書
 
 去年夏にフランスはブルゴーニュ地方へ出かけ、ロマネ・コンティのブドウ畑を見学してきましたので読んだ本です。
 ワインはボトルの大きさに比例して価値も価格も上がっていく。なぜなら、ボトルが大きければ大きいほど、ワインはゆっくり、かつじっくりと熟成し、生命が長くなるからだ。しかも、生産者は、品質のある年にしか大きいボトルを造らない。だから、通常のボトルに比べて味も格別である。ワインの大きいボトルは、希少価値も高いためオークションに出ると、ワインコレクターは競って手に入れたがる。
 ロマネ・コンティを飲むなら、ワインを愛する人たちと喜びを分かちあいながら、最高のシチュエーションで飲みたいもの。どうせ高いだけで、そんなにうまくはないだろうという気持ちで飲むのとでは、当然のことながら味わいもちがってくる。飲む側がワインに敬意を持ち、万全の態勢でのぞんではじめて、その本当の魅力を見せてくれる。
これは、まさしくそのとおりだと私も思います。ロマネ・コンティこそ飲んだことはありません。(ぜひ一度は飲んでみたいと思っています)が、やはり、レストランでこのワインは造り手がこんな人で、いつもの年よりこんなに味わい深いですよという講釈(能書き)を聞いていると、そうか、そんなに美味しいワインなのか、ありがたくいただこうという気になり、いつも以上に美味しくいただけるのです。食べ物も飲み物も、やっぱり雰囲気と、見た目が大切です。
 ロマネ・コンティは1年に6000本しか生産されない。12本入りの箱だと、わずか500ケースでしかない。だから、初めの卸価格が20万円ほどだとしても、流通階段で何倍も値上がりしていく。日本ではネットで買うと1本100万円というのですから、驚きです。
 ところで、ロマネ・コンティはラベルがシンプルで偽造しやすく、高価で売れるため、もっともフェイク(にせもの)がつくられている銘柄である。
 うひゃあ、ロマネ・コンティと思って飲んだら、そうじゃなかったということもあるのですね。そしたら、それを飲んだら当然、まずいと不満を言う人も出てくるでしょうね。
 ワインのオークションに参加できない人が事前に入札するのをアブセンティという。オークションでの売れ行きは、写真の出来ばえに大きく左右される。年代もののワインなら、できるだけホコリを積もらせたまま撮影し、古さが際立つようにするなど、万全の注意を払う。
 プレミアムワインとは、ロマネ・コンティのような高いワインのこと。それに対して、カルトワインとは、主としてアメリカはカリフォルニアのナパ・ヴァレーつくられている高品質かつ高付加価値のワインのこと。カルトワインなるものがあることを私は初めて知りました。
 カリフォルニア・ワインもフランスに負けないような高品質のワインを輩出しているようです。まあ、しかし、なんといっても、ワインは、かの地フランスで、ゆっくり休暇をとって、仕事に追われない日々のなかで味わうのが一番です。日本で、仕事のあいまに、あくせくしながら飲むものではありませんよね。
 それはともかく、日本女性がこの分野でも活躍していることを知って、その姿には頭が下がります。
(2011年2月刊。838円+税)

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