弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年3月16日

単身急増社会の衝撃

社会

著者  藤森 克彦、  出版  日本経済新聞出版社
 高齢かつ単身で生活する人が急増しています。日本は世界のなかでも、飛びぬけて多いようです。これって、なかなか深刻な問題です。国がきちんとした対策を立てるべきだと私は思います。だって、一人暮らしは病気になったりしたら、とても大変なことになるんですよね。
 50代・60代男性のおおむね4人に1人が一人暮らしになる。これが20年後の日本の姿だ。すでに、この20年間で単身世帯数が3倍以上に増えた。高齢者で単身世帯が増えたのは、長寿化による高齢者人口の増加と、結婚した子どもが老親と同居しなくなったことが大きな原因だ。50代と60代の男性で単身世帯が増加したのは、これらの年齢階層の人口増加に加えて、未婚者が増えたのが大きな要因。
50歳までに結婚したことがない人の割合を生涯未婚率と呼ぶが、男性は1985年までは3%以下だったのが、2005年には16%となった。しかも、20年後には29%となると予測されている。同じく女性は23%。
 2007年、全国の150万人の生活保護受給者がいて、その半数以上(54%、81万人)を単身者が占めている。男性41万人、女性40万人である。60代と70代の単身男性の17%が生活保護受給者。50代でも10%。これは50代における単身者の貧困が深刻な状況にあることを示している。
2008年の全国の自殺者3万2千人のうち、50代が20%を占めている。そして、その8割が男性であり、その4割が経済生活問題を動機としている。
 国際的にみて、日本社会は「社会的孤立」が進んでいる。共同住宅に住む人は地域から孤立する傾向がある。日本では介護における家族の役割が大きい。欧米諸国では、公的な介護サービスに加えて、家族以外の人によるインフォーマル・ケアが活発で、それらが高齢単身者の生活を支えている。
 非正規労働者は賃金が安く、雇用も不安定である。だから、結婚を望んでも踏み切れない。これは本人の自助努力だけでは克服できない問題である。社会として、非正規雇用の問題を是正すべきなのである。
 日本社会は社会保障を充実させないと大変なことになるというのがよく分かる、とても実証的な本です。

(2010年9月刊。2200円+税)

 日曜日の午後から庭の手入れをしました。ジャーマンアイリスを少し植え替えてやったのです。本当は6月に花が咲き終わったころのほうがいいようですが、例年、今ごろ植え替えています。貴婦人のように艶やかな花弁と花色で楽しませてくれます。
 ポカポカ陽気だったので、朝は一分咲きだった桜(サクランボです。ソメイヨシノではありません。)の花が午後には四分咲きになりました。ジョウビタキも何してるのと寄ってきてくれました。
 いつもなら散歩の人が何人も何組も通って声をかけてくれるのですが、一人も通りません。静かすぎて不気味です。庭に出ているあいだ大変なことが起きているのかもしれないとだんだん不安になってきました。初めての体験です。
 あまりにも悲惨な映像なので、気分が悪くなって早々に寝ました。悪い夢を見た人も多いようです。被災者の皆様には、本当に心からお見舞い申し上げます。私も及ばずながら、いくらかお役に立てればと考えています。
 うぐいすが見事に歌ってくれた春の一日でした。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー