弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年2月10日

FBI式、人の心を操る技術

著者 ジャニーン・ドライヴァー、  出版 メディアファクトリー新書
 人間の何気ない仕草に、実はその人の心の動きがあらわれている。なるほど、そうなのかなあと思う指摘がいくつもありました。
嘘の得意な人間は、たいてい相手の目を見続けることも得意だ。嘘つきは目を見ないというのは誤解だ。そうなんですね。まったく油断も隙もありません。
 それより大事なことは、相手がいつもとは違った動きをした瞬間を見逃さないこと。
恐怖に飲み込まれそうなときでも、自分のホンネ以上の自信をかもし出す訓練をする。これが利益をもたらす。本物の自信が身につくまでは、自信のあるふりをしている。これが大切だ。なるほど、そういうことですか・・・。
 友好関係を築くのにもっとも大切な感情は、共感だ。求められるのは、他者の言葉に真摯に耳を傾け、その価値観を理解し同じ感情を持つことのできる能力。これがあると、やがて相手も自分を尊敬するようになり、さらに大切な信頼関係が生まれる。うむむ、これって大切な指摘ですよね。私もそうだと思います。
 会って最初の7秒で第一印象は決まる。自己紹介は必ず強く。名前を皆に覚えてもらえるように、はっきり言う。それも1回だけでなく。
 相づちを打つのは、ほどよく、心を込めて。へその向きが、その人物の意志を読みとくときの最も重要な要素である。
人は不快感や不安を感じたとき、本能的に局部を隠す「イチジクの葉」のポーズをとる。身体のどこかとどこかを触れあわせる行為は精神的なストレスが高い場面で自分を落ち着かせようとして、無意識に行っているケースがほとんどだ。自分を触る仕草は、緊張、自信の欠如、あるいは退屈を示すシグナルだ。自分自身をなだめたり、落ち着かせるためにとる行動なのだ。 自分を触る仕草をしないように心がけること、それだけでも集中力が高まり、鋭敏になる。
相手が度を超した怒りを見せ始めたとき、言葉や肉体による暴力を受ける危険を感じたら、目をそらすこと。腹部やノドや局部を隠し、体を小さく見せる。自分からは話しかけない。そして、ゆっくりと出口へ向かう。どうしてそこまで怒り狂っているのかを尋ねてはいけない。怒るのは間違ったことだと理路整然と諭してもいけない。その時点で、相手は理性的に考えるのが不可能な状態にあるのだから。
他人の理不尽な怒りに出会ったら、何より自分の安全を優先しなくてはいけない。
ふむふむ、なるほどなるほど。いろいろ参考になる指摘がありました。FBIというんだから、うさん臭い。そう思わないで読んでみました。とても実践的で大切な指摘が満載の本でした。
(2010年7月刊。740円+税)

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