弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年1月 1日

三国志逍遥

中国

著者:中村 愿・安野光雅、出版社:山川出版社

 「三国志」は、私も学生のころ愛読しました。「水滸伝」と並んで、中国大陸の広大さと、そこに生きる人々の活力に圧倒され、躍動する心を抑え切れないほどでした。
 その「三国志」の現地へ出かけています。そして、絵を安野光雅が描いています。それがまた実に味わい深く、つい現物を見てきたかのように活写されているのです。
 曹操は悪者ではなかった。曹操は、周公の立場で26歳も年下の皇帝を誠心誠意、補佐した。董卓や袁術や袁紹などのように、おのれの権力欲を満たし、栄華を夢見て皇帝の座を手に入れようと目論んだ軍閥・輩とは異なるのだ。
 曹操は、自らが皇帝となるのを願わなかった。漢の遺臣であり、周公の立場に徹するという信念があった。
 曹操は66歳のときに病死しました(220年)が、その墓が発見されたと中国政府が発表しました。本当だとしたら、大変なビッグ・ニュースです。
 曹操の頭蓋骨まで残っているということです。ぜひとも確認してほしいところです。
 それはともかくとして、中国の「三国志」の世界にイメージたっぷり浸ることのできる楽しい本です。
(2010年3月刊。1900円+税)

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