弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年12月24日

日本人が知らない世界のすし

社会

 著者 福江 誠、 日経プレミアシリーズ 出版 
 
 この夏、フランスに出かけたときパリだけでなくリヨンそしてディジョンにまで回転寿司の店があるのを知って驚きました。寿司のヘルシーさをフランス人が好んでいるようです。
今、アメリカには1万をこえる日本食レストランがある。アメリカは日本を除く世界の日本食の3分の1を占める日本食先進国だ。オーストラリアのシドニーには、市内に1000件もの寿司店がある。フランスも同じく1000店の日本食レストランがあり、パリに700店ある。いま、全世界で寿司を食べることのできるレストランは5万店をこす。回転寿司の先進地は、アメリカではなく、イギリスのロンドンだ。日本の寿司屋ではニンニクは臭いがつくため避けられているが、海外ではそれが必須となっている。海外では、きつい酢の味わいは好まれず、押し寿司のような甘い酢加減の店が多い。
海外では、突飛で派手な外見が「目にも楽しい」と好まれている。日本人の感覚とは違って、シンプルに美しいものよりも、ゴテゴテと華やかに楽しいものが受けている。
フランスの寿司屋の経営は9割以上がベトナム系中国人。
海外で寿司店や日本食レストランを経営するうえでの心構えとして必要なのは、自分の哲学を持っていること。寿司の勉強は誰でも出来る。ただし、なぜその町で寿司を食べさせたいのかという根本が必要だ。店のコンセプトをはっきりさせないと長続きしない。
 海外では寿司職人の方がニーズがある。給料も、板前より2倍もいい。カウンターでお客とやりとりしながら仕事をするので、チップもバカにならない。お客は寿司職人に名前を覚えてもらうのがうれしい。海外で寿司職人として成功する秘訣の一つは客の名前を覚えること。海外で生きていくには寿司の技術と知識だけでは足りない。現地の言葉と人々の考え方への理解がないと、店を経営するのは難しい。寿司職人として雇われるのなら、一定の語学があれば足りるが、経営者として人を使う立場になると、スタッフの考え方まで知っていた方がいい。
 日本の現状は、回転寿司店が6000店舗で6000億円の市場。テイクアウト寿司店も同程度の市場をもつ。回転寿司専門店(立ち店をふくむ)と三分の一ずつ市場を分けあっている。
東京寿司アカデミーには、2ヶ月間で短期集中して学ぶコースと、1年かけて英語の接客技術や海外での店舗経営まで学べる寿司シェフコースがある。外国人も入学するが、その9割は韓国人である。いい魚を見分ける目利きの力と、包丁の扱いにはある程度の経験が必要だが、繰り返し練習すれば、誰でも必ず上達できる。
 寿司はカウンター越しの対面商売という、「行為そのものを消費する」独特の日本文化だ。世界には、こうした食文化・習慣はないので、カウンター商売が非常に新鮮に映る。
 世界のなかでの日本の寿司の置かれている状況がよく分かりました。カラー写真で、見た目も楽しいカラフルな巻き寿司がたくさん紹介されていて、つい手が出そうになります。20年ほど前、シカゴの高層ビルにアメリカのローファームを訪問したとき、昼食として出た寿司がびっくりするほど美味しかったことを思い出しました。ああ、寿司が食べたくなりました・・・・。
(2010年8月刊。850円+税)

 先日のフランス語検定試験(準1級)の結果が届きました。自己採点とぴったり同じ76点で合格していました。基準点が65点で、合格率26%です。ペーパーテストはこれで6回ほど合格したことになります。問題は面接試験です。時事問題をフランス語で話せなくてはいけません。とても難しいのです。これまで2回しか合格できていません。1月下旬まで、集中的に勉強するつもりです。
 チョコさんは長野にある「ちひろ美術館」に行かれたようですね。うらやましい限りです。私は東京の美術館には行ったことがありますが、まだ長野の方には行ったことがありません。ぜひ信州の高原にある美術館めぐりをゆっくりしたいものだと思います。
 本年は単行本を560冊読みました。チョコさんのような励ましがあると、書きつづる勇気が湧いてきます。いつも、ありがとうございます。

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