弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年9月22日

ロボット兵士の戦争

アメリカ

 著者 P.W.シンガー、 NHK 出版 
 
 クリックひとつで戦闘準備完了。戦場の3Dとは、危険(デンジャラス)、汚い(ダーティー)、単調(デュル)。3Dの環境を嫌がらず、効率よく任務を実行するのがロボットだ。人類はハイテクをつかって、リスクのない戦争をつくり出すことができるのか?
これはオビにある文句です。どうでしょうか、戦場をロボットで埋め尽くせるのでしょうか・・・・。
 無人偵察機プレデターは、2001年にはごくわずかだったが、2008年には5300機に達する。24時間もの滞空が可能なプレデターが発見・殺害したイラク武装勢力は、年間2400人にのぼる。このプレデターは、重さ510キロ、滞空時間24時間で、7900メートル上空を飛行できる。プレデターは一機450万ドル。ほかの軍用機に比べると割安。
イラクやアフガニスタンの上空を飛行する無人飛行機はアメリカ本土・ネバダ州にいるパイロットが操縦している。 うへーっ、ゲーム感覚で人殺しをしているんですね・・・・。
地上ロボットは、2003年のイラク侵攻作戦のときはゼロだったが、2008年末には1万
2000台がイラクで使われていた。戦争用ロボット事業は、年間60%も成長していて、
2008年には国防総省(ペンタゴン)との契約額が2億8600万ドルに達し、さらに3000台のマシンを供給することになった。2008年現在、イラクの地上で合計22種類のロボットシステムが活動している。
 イスラエルは、まもなくヒズボラを破ることはできないと気がついた。ヒズボラは国でもなく、イスラエルの国防予算の1%しか兵器等につかえる資金をもたない。しかし、ヒズボラは、攻撃前にイスラエル軍のコンピューターに侵入できたし、軍の無線システムにも侵入した。イスラエルのケータイ・ネットワークにまで入り込み、戦場にいるイスラエル軍の司令官や兵士が本土にかける電話を盗聴し、無線のコードネームなどの個人情報を手に入れた。
 ヒズボラは、戦力や規模という国家の強みを帳消しにする戦略を考え出し、独自のハイテクゲームで国家を負かすことさえできることを証明した。
 アルカイダは中央集権型の集団から世界中に「細胞」が広がる世界的な運動に進化している。テロリストは、新技術をさらに斬新かつ独創的につかって新兵を補充している。
 戦争ポルノは、戦闘の厳しい真実を隠しがちである。ほとんどの視聴者は、知人や同じアメリカ人がうつっている戦闘の映像を本能的に避ける。だが、名もない敵が死ぬ映像なら、平気で見る人が多い。
 戦争は、決して簡単にはいかない。戦争とは、そもそも複雑で厄介で予測がつかないものだ。たとえ無人システムが人間にとって代わることが増えても、この現状は変わらないだろう。無人システムによる誤認攻撃は、民間人の命を犠牲にするだけでなく、味方部隊に対しても起こりうる。
つまり、兵士を完全にロボットに代えることは出来ないのです。ロボット兵士の研究が進むほどに、誤爆の危険も増大すると思います。戦場のロボット化の実情を知ることができました。
(2010年7月刊。3400円+税)
 雑誌をめくっていたら、ネガをパソコンに取り込める器具が2万円で売られているのを見つけました。大量のネガアルバムをかかえて始末に困っていましたので、早速、通販に申し込みました。
 ネガを1枚1枚、手送りでSDカードに取り込んでいきますから、時間がかかります。それでも大学生時代、司法修習生時代そして結婚する前後のなつかしい写真が目の前にあらわれ、至福のひとときでもありました。
 今や、デジカメ時代になってしまいましたので、フィルムカメラ時代のネガは捨てるしかないかと、あきらめていました。こんなに便利な器具を発明したひとは偉いです。大いに感謝します。

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