弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年8月31日

激変の時代のコンビニ・フランチャイズ

社会

 著者 植田 忠義、 花伝社 出版 
 
 コンビニそしてフランチャイズについて、いま「日本でフランチャイズの実情に一番詳しい人」が書いた、とても分かりやすい本です。190頁ほどのハンディーな本ですし、1500円という手頃な価格の本ですので、関心のある人は、ぜひとも買って読んでみてください。
 フランチャイズというとコンビニと思われるが、実態はそうではない。1000社をこえる本部のうち、コンビニは40社ほど。加盟店は20万をこえるが、コンビニは、そのうち5万ほどでしかない。あらゆる業種にある。フランチャイズ産業全体の売上高の37%をコンビニが占めている。フランチャイズ本部の圧倒的多数は中小企業である。資本金10億円以上、様式公開という本部は、ほんのわずか。フランチャイズ関連で働く労働者は200万人をこえる。
コンビニ利用者は毎日2500万人をこえ、フランチャイズ店は、深夜の客数はきわめて少なく、割高の人件費、売れ残り、水道光熱費など、経営面で採算があっていない。一日の来客者数が600人以上、都心の店には一日に3000~5000人の客が入っているところがある。
 深夜も店に入るオーナーの平均的な一日の生活は、午後4時に起床。一人で軽く麺類を食べ、店に行く準備をする。午後8時には店に入り、翌日の午後10時まで店で仕事をする。それから自宅に帰り、寝るのは昼ころ。まともな食事も睡眠も取れない。家族との対話もない。いやあ、これって本当に大変ですよね。これが何年も続いたら、健康をこわしてしまうんじゃないでしょうか・・・・。
 昨日までの労働者が、いきなりフランチャイズ、コンビニをやるのは問題がある。経営者になる、事業を経営するというのがどういうことなのか知識がない。事業経営は、働いて資本投下しても赤字になりうることを理解していない。
それでも、この本は、コンビニ業界には将来性があるという立場で貫かれています。決して必要悪という消極的な立場ではありません。もっとも、24時間営業には消極的です。私も、その点は大賛成です。
 自立心の強い事業経営者志向の強い人には、コンビニは向いていない、ということも、はっきり書かれています。コンビニオーナーは、まさしく現代の奴隷という見方もあるのです。
 コンビニ店によっては「24時間営業」ではなく、「午前0時閉店」を本部に認めさせたところ、独自の仕入れを本部に黙認させた店もあるということです。
 そして、過大な廃業違約金を是正させた裁判例も紹介されてます。
 また、コンビニ契約の更新を本部に承諾させた店もあるとのことです。
 日本にはコンビニの数があまりにも多過ぎる気がします。フランスに行ったとき、小さなスーパーが日曜日に昼までの営業となっていて、午後2時過ぎに行ったときには閉まっていて、牛乳を買えなかったことを思い出しました。それでも、そんな不便は我慢できるものです。それにしても、今の24時間営業はムダだと私は思いますが、いかがでしょうか・・・・?
 いい本です。ぜひ、読んでみて下さい。
(2010年7月刊。1500円+税)
 泊まったホテルはリヨンの旧市街のなかにありました。旧市街には6階建てくらいの石造りの建物が並んでいて、通りは狭い石畳となっています。
 カフェーとレストランがあちこちにありますが、少し広い通りは、両側のレストランが歩道にまでテーブルを並べています。観光客が多いせいか、ここは夕方6時過ぎからテーブルがどんどん埋まっていきます。7時ころには、相当の客が座って食事しています、ざっと見渡すと300人以上はいるのではないでしょうか。夜8時といっても、まだ昼間の明るさです。
 広い通路が完全に埋まってしまいました。虫も蚊もハエもいなくて、暑くもなく、快適に食事ができます。

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