弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年6月20日

「おたふく」

日本史(江戸)

 著者 山本 一力 、日本経済新聞 出版 
すごいですね、うまいですね、ほとほと感嘆しながら、江戸時代の気分を満喫して読みすすめました。著者は同じ団塊世代ですが、この描写、ストーリー(筋立て)、なんとも言えない巧みさに、いつもいつも降参しまくりです。
ときは江戸時代、真面目で倹約家の定信が登場してくる寛政の世。そうです。寛政の改革というのを日本史で習いましたよね。
幕府はぜいたくは敵とばかり、徹底した倹約を大名から庶民に至るまで求めます。借金まみれの旗本、御家人の窮状を救うため、借金棒引きを命令します(棄損令)。
ところが、これまでの借金がなくなったのはいいとしても、次の借金がなくなってしまうと、生活が出来ない仕組みです。さあ、大変。世の中は大変な不況に見舞われてしまいます。
そのときに、地道な商売を見つけて、工夫しながら生き抜いていく商売人がいました。いつもながら無理のないストーリーです。読んでいるとホンワカ心があったかくなります。得がたい作家ですね。日経新聞の夕刊に連載されていました。でも、そのとき、私は読んでいませんでした。
(2010年4月刊。1800円+税)

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