弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年5月 3日

ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘

社会

著者:水木悦子、赤塚りえ子、手塚るみ子、出版社:文藝春秋

 タイトルを見ただけで何の本か、誰のことか分かった人は偉いですよ。私も、これらの娘さんのお父さんたちのマンガには子どものころ(大学生まで)大変お世話になりました。 ゲゲゲの鬼太郎って、初めのうちはすごく不気味なマンガでしたね。だって、墓場を舞台として、妖怪たちがゾロゾロ出てくるのですから・・・。天才バカボンにはまいりました。イヤミがシェーッと言って飛び上がるのは、大学生のとき、みんなでよく真似をしました。大学の寮で、みんなで回し読みしていたのです。『ガロ』なんかも人気でした。白土三平の「カムイ伝」も良かったです。百姓一揆が初めて具体的にイメージできました。そして、「火の鳥」など、手塚治虫には弁護士になってからも「ブラック・ジャック」など愛読しました。
 娘たちにかかると、偉大なマンガ家も顔色なし、です。案外、娘たちは父親のマンガは読まずに、他人のマンガを読みふけっていて、オヤジたちは、それを気にしていたというのも面白い事実です。
 赤塚不二夫の娘は、高校2年生のとき、パパの彼女と一緒に海外旅行に行ったことがあるといいます。さすがに、それを母親には隠していました。あるとき、それをバラしたら、母親は猛烈に怒って、「不二夫さん!」と電話で怒鳴った。赤塚不二夫は、このときちょうど、NHKの取材を受けていた・・・。あらあら、なんとしたことでしょう。かなりハチャメチャな生活だったようですね。
 「ブラック・ジャック」にでてくるピノコは、手塚の娘がモデル。ちょうど、小学生のときだった。
 水木は、人見知りだし、友だちも多くないし、お酒は飲めず、付きあいはよくない。会社でも家庭でも安心できないとダメ。
 父の偉大さは子どもにはなかなか見えてこないものなんだ。改めてそう思ったことでした。そして、久しぶりにマンガを心いくまで味わいました。それぞれのマンガも挿入されていて、とても楽しい本です。笑いながら、共感しながら、感嘆しつつ車中で一心に読みふけりました。なつかしくも楽しいひとときを過ごせました。ありがとうございます。
(2010年3月刊。1429円+税)

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