弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年1月15日

「共犯」の同盟史

社会

著者 豊田 祐基子、 出版 岩波書店

 アメリカと日本の密約が最近、次々に明るみに出ています。日本がいつまでもアメリカのいいなりになっていていいのか、根本的な疑問があります。
 普天間基地にしたって、アメリカがどこに移転しようと勝手だし、ともかく日本国内にアメリカ軍基地があること自体おかしいのです。移転先が決まらなければ普天間基地は動かせないなんていうのは、アメリカの勝手な論理でしかありません。日本政府は、ただ、普天間基地は置いておけないから、どこでもいいから持って行ってくれと言えばいいのです。アメリカにおべんちゃらする必要はまったくありません。
だいいち、アメリカの海兵隊が日本人を守ってくれるなんて幻想そのものでしょう。アメリカの海兵隊は、沖縄から出撃してイラクに飛んで、ファルージャでイラクの民衆大殺戮をやったではありませんか。そして、日本の少女を殺し続けているのですよ。日本人を守ってくれてるなんて、とんでもありません。
 今こそ、ヤンキーゴーホームという叫び声をあげていい。私はそう思います。ちなみに、ヤンキーとは、アメリカ軍のことであって、アメリカ人一般をさしているわけでは決してありません。誤解されないないよう、念のため申し添えます。
 1944年7月、サイパン守備隊が全滅した段階で、岸信介は東条首相に早期終戦を進言して怒りを買った。その岸は、商工大臣在任中、少なくとも数千万円受け取っていると噂されていた。
 1955年2月の総選挙で、日本民主党は鳩山ブームに乗って第一党に躍り出た。通算7年2カ月にわたる吉田政権にうみ飽きた国民は、庶民的で明るいイメージの鳩山一郎の登場に熱狂した。
 うへーっ、これって何だか今の日本にそっくりの構図ですね……。
 1959年4月、アメリカと日本は秘密のうちに合意した。アメリカは、核兵器を搭載するアメリカの艦船が日本領海を通過・寄港し、核兵器を積んだアメリカ軍の飛行機が日本領空に飛来できる。このような核搭載は、何かの拍子に公にならない限り、事前協議の対象にはならない。そして、日本側が、あくまでもこだわったのは、日本とアメリカが対等であるという体裁だった。
 つまり、日本とアメリカの相違点は内容ではなく、「体裁」をめぐるものであった。
 アメリカにとって、そこには根本的利益が守られる限り、岸のような親米派であれば、指導者がだれであってもいいというドライな対日観があった。
 小笠原諸島の父島には、海上発射核ミサイルが1965年まで、硫黄島にも1956年から3年間、核爆弾があった。沖縄には、1954年12月に核爆弾が配備された。その後、対潜水艦核爆弾、地対地ミサイルなどが運び込まれ、ベトナム戦争が激化した1967年には、アジア太平洋に配備された3200発のうち1200発もの核爆弾・弾頭があった。
 日本政府は沖縄返還と引き換えにアメリカに対して3億9500万ドルの財政取引に合意した。これは協定上の3億2000万ドルのほか、協定にはないアメリカ軍施設改善費や、基地移転費などの7500万ドルである。おもいやり予算の原型となった。
 金丸信は、防衛庁の部下に対して「アメリカ軍を傭兵として使うんだから、駐留費くらい出せばいいんだ」と言っていた。1979年度のおもいやり予算は、280億円だった。
 それが今も生きていて、ますます増大しているのです。許せません。
 日本にあるアメリカの基地が日本を守るためのものという幻想を、日本人は一刻も早く捨て去るべきだと思います。フィリピンでやれたことが、日本でできないはずはありません。
 
(2009年6月刊。2800円+税)

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