弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年1月13日

だから人は本を読む

社会

著者 福原 義春、 出版 東洋経済新報社
 同じ活字ではあるけれども、インターネットから得る細切れの情報と、まとまった考え方や視点が書かれている本や文章とは、明らかに違う。
 私も、この点はまったく同感です。負け惜しみのようですが、メールやホームページを見ることはあっても、自分から入力することは全くありません。その理由は、入力スピードがまるで遅くて、自分でも嫌になるからです。
 私は、やっぱり手書きです。そして、次々に文章を挿入していくやり方が性に合っています。
 忙しい時こそ1日20分でも本を読んで、吸収した栄養をその時からの人生、そして仕事に役立てるべきだ。本にも旬があり、人が本を読むのにも旬が大切だ。
 年間500冊以上の本を読む私にも、積読(つんどく)の本は何百冊とあります。そのうち読もうという本より、今すぐ読みたい、面白い本を先に読むようにしているので、どうしても次順位の本はあとまわしになり、未読の本がたまっていくのです。
 本は数多く読めばいいというものではない。自分の体質に合った本を見つけて、そこに書かれた思想や出来事を少しでも吸収しておけば、やがてそれが自分自身になって、ひとりでに発信できるようになる。
 しょせん一人がやることはわずかな領域だ。そうであるならば、祖先の人々が経験し、考えたことが本になって、膨大な「知」となって残っているのだから、それを読んでいくことによって、私たちの人生は厚くなり、深くなっていくだろう。
 インターネットに蓄積されている記憶だけを頼って、本を読まない人の頭は空っぽで、与えられるものを享受するだけの存在になってしまう。彼らに情報を与える側は必ず本を読んでいるから、頭の中にはしっかりとしたネットワークが出来上がっている。この二分化がさらに進むと、本を読まない圧倒的多数は、本を読む少数によって、知らない間にコントロールされてしまう。
 著者は資生堂の名誉会長です。経済界随一の読書家として有名のようです。同じ趣味を持つ私も共感するところが大でした。

 夜、寝るときに湯たんぽが欠かせません。雨戸を閉めず、暖房のない部屋で寝ていますので、方のところに寒気が侵入してきます。そこで、寝るときには両肩のところに湯たんぽを1つずつ置いています。すると方が冷えることはありません。
 寝る前にふとんの中に湯たんぽを入れておくと、ふとんがほかほかになっています。ぬくぬくとした布団に入るのは幸せな瞬間です。
 ホームレスの人たちが野外で寒気にさらされながら寝ているのを見聞きすると、申し訳ないなと思ってしまいます。
 官制の派遣村を鳩山首相が視察したのを石原都知事が批判しましたが、とんでもないことです。ホームレスを無くすのは、まさに政治ではありませんか。

(2009年9月刊。1500円+税)

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