弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年1月 5日

カップヌードルをぶっつぶせ

社会

著者 安藤 宏基、 出版 中央公論新社

 私は、ホカ弁はもちろん、カップヌードルもまったく食べません。いえ、駅弁は食べますし、デパ地下の弁当は買って食べるのです。でも、ホカ弁にはご飯に化学調味料がまぶしてあるんじゃないか、カップヌードルは容器から化学物質が溶け出しているんじゃないかと気になって仕方がないからです。それは、絶対にコカ・コーラを飲みたくない、マックを食べたくないのと同じです。化学調味料まみれの得体の知れないものは口にしたくありません。
 ではなぜ、この本を読んだかというと、カップヌードルがなぜこんなに売れるのか、その秘密を知りたかったからです。
 私の小学生のころ、インスタントラーメンが初めて売り出されました。メンに味をしみ込ませてあるから、お湯を注いで3分間待てば美味しく食べられるというので大人気でした。大学生の頃には寮で夜中、小さな手鍋をもってうろうろし、夜食として食べていました。
 この業界での新製品競争はすさまじいものがある。まさに消耗戦だ。勝ち残るためには闘い続けるしかない。新しい医薬品に何十億、何百億円という開発費をかける業界とは違う世界である。消費者の食に対する嗜好はどんどん多様化し、日々変化している。日新食品だけで年間300アイテムの新製品を作り出している。業界全体では毎年600アイテムになる。このように数は多いが、1年後まで店頭に残って定着するのはわずか1%に過ぎない。食品業界の中でも名うての激戦区なのだ。
 日清食品は変人をきちんと評価する。つまり、非効率を許す風土を大切にしている。変人とは一般的な常識には欠けているかもしれないが、ある特定なことに以上に関心が高く、その専門領域では誰にも負けない知識を持っているような人のこと。このような変人を社内に3割は欲しい。逆に、3割を超えると経営が成り立たなくなるだろう。
 いやはや、会社経営というのはまことに大変なんですね。常識人ばかりの会社では生き残れないというのですからね……。

(2009年10月刊。1500円+税)

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