弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2009年12月19日

ギャンブル依存とたたかう

社会

著者 帚木 蓬生、 出版 新潮選書

 現在の日本には、アルコール依存症者が400万人、自己破産者が年間20万人ほどいるので、ギャンブル依存者は200万人はいると見積もることができる。そして、その周囲に、ギャンブル依存者によって苦しめられ、悩まされる家族や親類、知人、友人が、その何倍もいる。
 ギャンブル依存の特徴は、現在、ギャンブルを止めているからといって病気が治癒しているとはいえないことにある。再びギャンブルに手を染めると、またたく間に元の状態に立ち戻ってしまう。
 日本のギャンブルの最大の特徴は、パチンコ店の存在にある。全国で1万6000軒あり、パチンコ人口は2000万人。パチンコ産業全体の年高は30兆円。出版業界の年商はその1割、3兆円にすぎない。
プロのギャンブラーとギャンブル依存者は違う。どこが異なるのか?プロのギャンブラーは、リスクの高いものには小さく、手堅いものには大きくはるので、丸損しない。そして、勝負の旗色と自分の体調とを天秤にかけつつ、潮時をちゃんと見極める。
 ギャンブル依存症は、ギャンブルに対して過度に興奮し、それが持続してノルアドレナリンとドーパミンが脳内で盛んに生成され、セロトニンというブレーキが利かなくなっている状態をいう。
ギャンブル依存症は、氏より育ちであり、環境の要素は大きい。
 日本における男女の比率は、7対3で男性のほうが多い。
ギャンブル依存症が自然に治るのは極めてまれで、あとは進行するばかりなのである。
 ギャンブル依存症に借金はつきものである。
 GAはギャンブル依存症者の立ち直りのための自助グループです。全国に35あり、九州に6つあります。GAに通った効果は1週間。だから毎週通う必要がある。著者は北九州で開かれた全国クレサラ被害者交流における講演で断言されました。なるほど、そうなのかと思いました。大変役に立つ実践的な本です。

12月14日、師走半ばの討ち入りの日は、私の誕生日でした。61歳になりました。まだまだ元気いっぱいですが、さすがに30代、40代のようには身体が動きません。悪徳業者を怒鳴りつける若さも無くなりました……。

(2009年5月刊。1000円+税)

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