弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2009年5月 6日

すごい空の見つけかた

宇宙

著者 武田 康男、 出版 草思社
 年齢(とし)をとったせいでしょうか、空に雲がながれていくのを飽きることなく見ていることがあります。とりわけ、近くの小山にのぼって、頂上で上半身裸になって汗をふき、下着をとりかえたあと、ひなたぼっこしながら、はるか上空を漂い、流れていく雲をじっと眺めていると、地球と一体になった気がして、心に安らぎを覚えます。
 この本は、空と雲を取り続けてきたプロ写真家の解説つきの写真集です。空のこと、そして、写真のとりかたの双方を深く知ることができます。
 わたしのカメラは、まだ基本的にフィルム・カメラです。ブログ用にデジカメもつかいますが、長年愛着のあるフィルム・カメラをポイ捨てする気にはなれません。でも、そのうち、フィルム・カメラはきっと使わなくなるでしょうね。だって、フィルムがいつまで売られていることでしょうか……。カセットテープがなくなり、8ミリビデオがなくなったので、全部、CDやDVDに変換してしまいました。
 日の出を見るなら、50分ほど前から空を見ること。空の色は、虹と同じような色の変化が、上から下に連なる。低い空ほど、太陽光があたる大気が濃くなり、赤っぽい色の光しか通り抜けられなくなるからだ。
 空が青いのは、空気分子による散乱のため。青っぽい光は散乱されやすいので、空に散らばり、とくに太陽から90度の方向からは、散乱された光のうち、青い光ばかりが目に飛び込んでくるので、濃い青色になる。
 夕陽が赤いのは、厚い大気を通り抜けるあいだに青っぽい光が散らばってなくなってしまい、赤っぽい光だけになってしまうから。太陽だけでなく、まわりの空も赤いのは、空気の中の雲やチリなどに赤い光が当たるため。
 夕陽が消える瞬間に緑色の光点が印象的に残ることがある。これをグリーンフラッシュという。ふむふむ、そういうものがあるのですね。でも、私は、残念ながらまだ見たことがありません。
 雲が美しく虹色に染まる現象を、彩雲という。すごく綺麗な雲の色です。ええーーっ、こんな雲って見たことないよー…、と叫んでしまいました。
 大気は、朝方より夕方のほうが温度が高く、水蒸気量や浮遊物質も多い傾向にある。だから、朝日は橙色でまぶしく、夕日は赤みが強くて輝きが弱い。
 朝焼け雲は澄んだ色合いで雲の輝きが強く、夕焼け雲は赤みが強くて雲がやや暗い。青い空に美しく色づいた朝焼け雲は、空気の澄んだ朝ならではの光景だ。
 いやあ、空をもう一度よく見てみましょう。そして、その色の移りかわりを体感することにします。澄み切った青空に高くのぼりつめた白い雲を見ると、学生時代、奥那須の山奥で見た入道雲を思い出します。セツルメント活動に夢中だったころのことです。夏合宿の思い出は今なお強烈です。夜にはきゃん分ファイヤーをしました。火を囲んで肩を組んでうたう歌声が心を揺さぶりました。恋い焦がれる思いで異性と話し込み、夜を徹して語り明かしたものです。青空を見るたびに40年前に戻りたい衝動に駆られます。
 
(2009年4月刊。1600円+税)

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