弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年5月 2日

我らが隣人の犯罪

社会

著者:宮部みゆき、出版社:新潮社
 すごいですね、さすが宮部みゆきです。
 最初期の作品群だそうです。いやあ、まいりましたね、これが宮部みゆきの駆け出しのころの小説だなんて・・・。すごいのです。いえ、すご過ぎます。
 推理小説なので、その展開をここで紹介するわけにはいきません。なーるほど、なるほどと、ひたすら感心するばかりです。
 タウンハウスの隣人が愛人稼業の女性。ところがキャンキャンと、うるさく吠えるスピッツを飼っている。やがて、そのスピッツを黙って始末してしまおうということになり完全犯罪を企みます。そして、そこで起きたことは・・・。予期せぬ結末です。
 次の「この子誰の子」も、すごいです。特別養子という、誰が父親なのか分からないシステムを破る、そんな話です。その着想と展開がすごいですね。
 読み終わってみると、なーるほど、と思わせる顛末を不自然さを感じさせずに、次はどうなるのだろうかと、ぐいぐいひっぱっていく著者の筆力には感嘆するばかりです。
 ジャーマンアイリスの爽やかな青紫色の花が次々に咲いています。茎がすっくと伸びて華麗な花を次々に咲かせて目を大いに楽しませてくれます。隣に純白の花も可憐に咲いていて、お互い同士で引き立っています。福岡県弁護士会館の通用口のそばに咲いているジャーマンアイリスは私が持ち込んだものですので、一度みてやってください。
 黄色のアイリスが気品にみちみちて咲いています。その隣には小さな紫色のシラーの花がここぞとばかり美しさを誇っています。ただし、もうすぐしたら、エンゼルストランペットの日陰になってしまうのです。
(2008年1月刊。1400円+税)

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