弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年2月 8日

インドの衝撃

インド

著者:NHKスペシャル取材班、出版社:文藝春秋
 インドで理工系の大学・学部で学ぶ学生が2006年に44万人だったのが、2007年には50万人になった。毎年4〜5万人ずつ増えている。その最高峰は、インド工科大学(IIT)。5000人の定員に対して、受験者は30万人。競争率は60倍。IITには、全体で2万6000人の学生がいる。
 IITの試験は1日。午前中に数学・物理・化学について3時間。午後からまた3時間。合計6時間で、問題は132問。理解力と分析力、そして論理的思考能力が評価される。日本の試験も、このように暗記重視をやめたほうがいいと思うのですが、残念ながら、そんな声はあまり聞けません。
 合格順位にしたがって、IITの、どの学部に進むかを決める権利が与えられる。受験できるのは2回まで。
 入学したら、全員が大学内の寮で生活する。寮の部屋は3畳ほど。テレビも冷蔵庫もない。IITの試験科目は1科目につき3時間。10問あって、すべて記述式で解答する。IITでは暗記は重視されない。
 IITの卒業生は、20年前は80%が海外へ行っていたが、今ではわずか10%のみ。卒業生も、海外からインドへ続々と戻ってきている。
 インド式計算法が日本でも評判になっている。インドは、生徒が算数を大好きになるように工夫した授業をしている。1年生のときから暗算を始め、習慣として身につけさせる。そのため、生徒の机の上には教科書もノートも鉛筆も一切ない。
 インドでは、年収9万ルピー(26万円)以下を貧困層、100万ルピー(290万円)以上を富裕層とみている。そのあいだが中間層となる。この中間層が2001年に2億2000万人(人口の20%)から、2005年に3億7000万人(34%)に急増した。
 行ってみたいインド、でも行ける自信と勇気のないインドのことを少し知ることができました。
(2007年10月刊。1714円+税)

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