弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年12月14日

失われた文明マヤ

アメリカ

著者:恩田 陸、出版社:NHK出版
 メキシコ南部からグアテマラあたりにあったマヤ文明を現地の写真つきで紹介する本です。マヤ文明が高度に発達していたことは残された石造の遺跡の素晴らしさからもよく分かります。本当にすごく立派な石造りの建物がたくさんありますし、彫刻もきめ細かいものです。
 マヤ文明は中央集権型の構造ではなかった。マヤ文明が長持ちしたのは、ネットワーク型の都市文明だったから。ネットワーク型組織は故障に強い。マヤでは、そこそこの規模の都市がゆるやかにつながっていたので、どこかがつぶれても残りは生き続けることができた。
 1695年、古代マヤ文明の中心地ティカルの遺跡が再発見された。密林のなかに忽然とピラミッドがそびえ立つ。1号神殿は高さが45メートルもある巨大な建造物だ。ところが、当時の古マヤの人々は鉄を知らず、つかったのは石の道具だけ。また、牛も馬もつかわず、すべて人間が担いで運んだ。
 うむむ、これはすごいことですね。
 ティカルには、およそ6万人が住んでいたと推定されている。
 この本では深紅に塗られた建物が建ち並ぶティカルの町の様子がCGで再現されています。まさに圧巻です。荘厳とでもいうべき眺めです。
 さらに驚くべきことは、ここに人工の貯水池が3つあったというのです。ティカルには川も湖も沼もなく、そのままでは乾期に人々は生活できないので、貯水池をつくった。それも、高度、中度、低度と、水の汚染度の違いで、水の利用を区別していたというのです。すごいですね。
 チチュン・イツァーのピラミッドには、春分の日になると、大蛇の頭にうねるような光の胴体がつながった、豊穣の神・ククルカンが出現する。
 これは、ピラミッドが真北から17度傾いていて、古代マヤ人は、太陽の観測から、それがつくる影の位置を正確にとらえて精巧な建築で再現したのです。
 こういっても、言葉だけでは分かりにくいと思います。しかし、特定の日に、影だけで大蛇を出現させるなんて、きわめて高度の天文学と建築学の知識を要することです。いやあ、まったく驚いてしまいます。
 このククルカンが降臨すると、それからひと月後に雨期が始まる。つまり、ククルカンの出現は、大事な農作業を始めるタイミングを教えるわけである。
 古代マヤ文明の遺跡からは、古代マヤの戦争を描いた壁画も発見されています。カラー写真で、迫力ある戦闘場面が描かれていることがよく分かります。
 インカ帝国とが別の高度に発達した文明があったことが、たくさんの写真を眺めているだけでも、よく分かります。
 今日は、私事ですが、私の50代で最後の誕生日なのです。そうなんです。来年は、ついに私も還暦を迎えるというわけです。我ながら信じられませんが、このブログを読んでいただいている方々へのお願いです。そのことについての一言コメントをぜひお寄せください。辛口コメントでも、もちろん結構です。
 還暦を目前にして、私も、もう一回、何か新しいことをしたいと考えています。
(2007年6月刊。1600円+税)

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