弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年12月13日

ジョルジオ・アルマーニ

著者:レナータ・モルホ、出版社:日本経済新聞出版社
 ブランド品など、とんと縁のない私ですが、その名前くらいは知っています。アルマーニって、どんな人物なのかなと思って読んでみました。ずい分前にグッチについても本を読んで、この書評に紹介したように思います・・・。
 アルマーニは、イタリア北部の決して裕福とはいえない中産階級に生まれた。1934年7月11日、アルマーニは国立ミラノ大学医学部に入学し、3年で退学した。一兵卒としてシエナの工作部隊に入隊し、医療班に所属する。兵役を終えて、建築家のアシスタントになる。アルマーニは百貨店で、さまざまな仕事をこなした。そこで人々の望むものを見きわめる鋭い感覚を身につけた。そして、世の中が必要としているものの一歩先を読むことも。生来の観察眼の鋭さが、アルマーニの強力な武器となった。
 ふむふむ、そうなんでしょうね。同じものを見ていても、凡人のボンヤリした目では見えないものが、天才には見えているというわけなのでしょう。
 この本には、アルマーニの幼いころから現在に至るまでの写真が満載されていて、その仕事と生活の様子をイメージすることができます。
 アルマーニは、経営部門を担当した男性と同棲していました。つまり、ゲイだったのです。なぜか、芸術家にゲイの人々が多いですよね。それって、関連性があるのでしょうか。それとも単なる偶然なのでしょうか。
 アルマーニにとっては、仕事こそが人生そのものであり、プライベートとの区別はない。華やかさとは無縁の日常生活を過ごし、毎朝9時にオフィスに入る。アルマーニは俗世間とのつきあいを嫌い、無類の整理整頓好きだ。
 アルマーニは、アメリカ人のイタリアについてのイメージを一新した。それまでは、薄暗く、苦悩にみちた、高潔だが貧しい、というものだった。そんなネガティブなイタリア人についてのイメージが突如として霧散し、エレガンス、グラマラス、見るものをうならせる才能という、まったく正反対の価値観にとって代わられた。
 安物の旅行鞄ひとつでやってきた、運命に任せるしかない無学な移民というイメージが消え、美的感覚と創造性に圧倒的に勝る国というイメージがアメリカに浸透した。
 アルマーニは、意外なアイテムを組み合わせる。スーツのボトムにレザーパンツをもってくる、ロングジャケットにショートパンツを組み合わせる。ジャケットの上にベストを重ねる。生地の特性を最大限に生かす感性。ユーモアあふれるディテールや奇想天外なシンメトリー感、驚くような素材をつかって伝統的な形を新しいものに仕立てあげる。着こなしにもたらされた自由。なんといってもアルマーニの服は着心地がいい。
 ふーん、そうなんですか・・・。アルマーニなんて一度も着たことがありませんから、それがどんなことなのか、よく分かりません。
 アルマーニと仕事をするには、忍耐力、自己犠牲、情熱という資質が求められる。アルマーニはチームを組んでの仕事を理想とする。終始なごやかなチームというのではなく、活発な議論のできるチームを望む。
 アルマーニは、ミスをする人間に対して寛容ではない。過ちは決して許されない。
 アルマーニの発想のなかには日本の影響もある。北斎の浮世絵や広重の風景画にえもいわれぬ魅力を感じる。
 いやあ、すごいですね。イタリア人のアルマーニに日本の浮世絵の影響があるなんて、信じられません。
 アルマーニの最大の長所は、自分のアイデアをとことんまで信じること。本能的な勘に逆らうと、その決定は必ず裏目に出る。いつだってそう。自分の着想のほうが正しいという確信をもっている。それがアルマーニの強みだ。
 いまや、アルマーニ・グループは従業員4900人、13の製造工場をもち、売上高が14億2800万ユーロに達するモード界屈指の大企業である。
 すごいことですね。やはり発想が根本的に凡人とは違うのでしょうね。
(2007年7月刊。2800円+税)

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