弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年8月 3日

清冽の炎(第3巻)

社会

著者:神水理一郎、出版社:花伝社
 第3巻が7月に刊行されました。さっぱり売れずに最終巻(1968年4月から1969年3月までを5巻、その20年後を6巻とする構想です)まで到達できるかどうか、著者も出版社も心配しています。ぜひ、みなさん応援してやってください。前回に引き続き、第2巻のあらすじを紹介します。
 駒場では代議員大会が無期限スト突入を決定した。
 民主派と敵対する三派連合の呼びかけで、安田講堂に3000人の学生が集まり東大全学共闘会議が結成された。東大全共闘は七項目要求を掲げつつ、東大生であることを否定せよ、全学バリケード封鎖で東大を解体せよと叫び、影響力を広げていった。
 佐助が一員となった若者サークルは、丹沢へ一日キャンプに出かけて交流を深めた。セツラーは、その取り組みを議論し、評価して総括文にまとめあげていく。そして青年部や子ども会といったパートに別れて活動している全セツラーが集まって徹底的に討論する。夏合宿は奥那須の三斗小屋温泉で四泊五日の日程だ。日頃の地域での実践を交流しあい、人生を語りあう。楽しいなかにも生き方への厳しい問いかけが不断にかわされる。さらに、北町セツルメント内にある路線の違いが表面化してきた。地域を革命の拠点をしようという過激な主張が登場してきたのだ。
 安河内総長は紛争収拾策として8月10日に告示を発表した。しかし、それは従来の延長線上でしかなく、学生を失望させた。
 子ども会は北町に泊まりこんで地域での集中実践合宿に取り組んだ。地域内にある矛盾がかなり見えてきて、北町に住みこんで活動しようというセツラーが少しずつ増えていく。何かをつかみたい。それを将来に生かしたいと考える学生たちだ。
 そんななかで中学生の子どもたちが家出する事件が起きた。しかも、そのあとセツラーが子どもに殴られる事態へと発展していった。セツラーの危機が迫った。
 駒場では要求解決の展望が見えないまま、多くの学生が登校せずネトライキ状態が続いている。なんとかしなくてはいけないという思いが、第三の潮流としてのクラス連合の結成につながった。しかし、代議員大会では相変わらず、民主派と全共闘の勢力が伯仲して、膠着状態が続いている。民主派は戦闘的民主的全学連をモットーとしてかかげ、全共闘に対して正当防衛権を行使する方針をうち出し、九月から実践しはじめた。
 佐助は夏合宿以来、ヒナコが気になっている。思い切ってデートを申し込んだ。しかし、進路については依然として定まらず、不安なままだ。
 第2巻は2006年11月刊、1,890円。第3巻は2007年7月刊、1890円。

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