弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年6月18日

ぼくの南極生活500日

社会

著者:武田 剛、出版社:フレーベル館
 2003年12月から、2004年2月まで、南極で生活した体験記です。地球温暖化のせいで、南極の氷がどんどん溶けてなくなっている様子も分かります。
 「しらせ」は、昭和基地の目の前にまで難なく接岸できるまでになっています。厚い氷の海がなくなってしまったからです。
 多いときは1000回以上、少ないときでも数百回のチャージングをしてきた過去の航海がウソのようだ。砕氷船「しらせ」は、厚さ1.5メートルまでの氷なら、割りながら止まることなく進むことができる。
 チャージングとは、砕氷船「しらせ」が、全速力で氷の海に体当たりしながら、少しずつ進むことです。
 まあ、そうはいっても南極です。冬にはマイナス60度の世界です。雪上車から出て地面におりたつ。息をすると、肺が冷たい空気でちぢみあがり、苦しくなる。身体中の関節もこおったように固くなり、手や足が自由に動かない。顔をあげると強い風にあたって針で刺されたように痛む。鼻やほおは、またたくまに凍傷になり、真っ黒に変色した。
 うわー、すごーい・・・。私もマイナス20度という冷凍冷蔵庫に入ったことがあります。痛いほどの寒さで、息をするのも大変でした。
 南極では、建物から一歩外に出るときには、天気が急に変わって迷い子になりやすい。必ず無線機やGPS、ライト、食料、水をもって外に出ること。
 静電気のたまった手でパソコンをさわって、こわさないこと。
 昭和基地には50をこえる施設がたちならんでいる。真冬のきびしい寒さにそなえ、マイナス60度、風速毎秒80メートルにも耐えられるよう、壁の厚さは10センチもある。
 隊員が寝るのは、居住棟にある6畳の個室だ。
 ペンギンたちは人間を恐れず、好奇心旺盛に近寄ってくる。しかし、第一次越冬隊は、ペンギンをつかまえて食べた。
 そのペンギンの可愛らしい姿が写真にとられています。でも、写真といえば、真夏の南極では、太陽が沈まない、その様子を連続写真としてコンピューターで合成した写真が圧巻です。
 太陽がのぼっても低いままで、すぐに沈んでしまう冬の極夜になると、体内時計が狂って、体調不良となってしまう。
 基地の生活で出るゴミは、1ヶ月に2トン。燃やして、灰をドラム缶に詰めて日本に持ち帰る。基地全体でつかう氷の量は一日で8トンにもなる。「しらせ」は、毎年600トンもの燃料を運びこむ。バーの倉庫には、2万缶のビールが積んである。
 南極には1961年の南極条約によって、各国の領土権が認められていない。
 南極に行ってみたいという気持ちが全然ないわけではありませんが、寒さに弱い私には、やっぱりとても無理のようです。写真でガマンすることにします。

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