弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年5月 2日

パチンコの経済学

社会

著者:佐藤 仁、出版社:東洋経済新報社
 日本の食品スーパーは1万8500店。パチンコ店は1万5000店。えーっ、多い。パチンコ業界は30万人が働く巨大な産業。
 先日、トイレ休憩で久しぶりにパチンコ店に入りました。私も司法試験の受験生だった学生のころは、図書館へ行く前にちょっと寄り道してパチンコ店に入り、たまには景品でチョコレートなんかをもって帰って友だちにプレゼントしていました。いまのパチンコ店は、トイレなんてピカピカ、きれい過ぎるほどです。スロットマシーンの前にはずらり老若男女が並んで坐っていました。空いている席がないほど埋まって、みんな真剣に盤面を見つめています。ただ、久しぶりにパチンコ店に入ると、あの騒音がたまりません。頭がおかしそうになって早々と退散しました。
 パチンコ業界の年間売上は28兆7000億円。パチンコ人口は1710万人。パチンコ機とパチスロ機とを合わせて490万台の遊技機がある。
 パチンコホール企業数は7000社、遊技機メーカーは50社。日本人の一年間のレジャー支出は80兆900億円なので、パチンコの占める比率は36%。
 パチプロは、一般に月10〜20万円、パチスロで20〜30万円かせぐのが可能だ。それには時間がたっぷりあり、遊技に関する情報収集に熱心で、フットワーク軽く動けることが条件だ。ただし、長くしていると健康を損ない、ひいては人格も失いかねない。うむむ、よく分かる指摘です。
 現在のパチンコ機は長くて1年、短ければ2〜3ヶ月で撤去されるという短期の入れ替えサイクルになっている。お客はピーク時の3150万人から、半減している。しかし、売上は減っていない。単位時間あたりの消費金額を増やして粗利益の絶対額を維持しようとしている。
パチンコ人口は10年後(2015年)は1270万人となり74%に減り、15年後(2020年)には1130万人と66%になると予測されている。その大きな理由は加齢現象。なるほど、パチンコが面白いといっても、最近の若者を大々的に呼びこめるものではないということなのでしょうね。
 日本のパチンコは面白すぎるのでギャンブル依存症の温床となっている。
 ひゃあー、そうだったんですか。知りませんでした。借金まみれになった人のうち、少なくない人々が、このギャンブル依存症です。なかなか抜け出せない病気です。でも、決してあきらめてはいけません。

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