弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年2月16日

電話はなぜつながるのか

社会

著者:米田正明、出版社:日経BP社
 私は、地下鉄のホームで携帯電話をつかって話している人を見かけるたびに、不思議でなりません。どうしてコンクリートの固まりの地下で電波障害を起こすこともなく、地上の人と話ができるのでしょうか・・・。
 小さな細い電話線しかないのに、何万人、いや何百万人もの人々が一斉に電話をかけて混線しないのはなぜなのか。これまた理解できずに悩んでいました。この本を読んで、少しだけ理解がすすみました。もちろん、まぜ全部を理解したというわけではありません。本当に、この世は不思議なことだらけです。
 電話ネットワークは、電話交換機のつながり。電話交換機同士は、1000本以上の線を束ねた太いケーブルでつながっている。これは、1000車線の道路でつながっているようなもの。
 電話網を電話の動脈だとすると、共通線信号網は神経にあたる。共通線信号網がないと、電話交換機同士はお互いにメッセージを交換できない。
 電話線の長さは、平均2.2キロ。
 電話の音声は電気信号として電話線の中を進む。その速さは、真空中の60〜70%で、秒速18〜21万キロ。ポリエチレン絶縁体をつかうため、光速より少し遅くなる。
 電話の声は、1秒間に300〜400回往復運動する音(周波数300Hzから3400Hz)を扱う。
 
 電話の音声は、1秒あたり8000個の数値で表す。それぞれの数値は0〜255とする。この256段階の音を0か1で表すと、8ケタ(8ビット)が必要となる。だから、1秒あたりの音は、800×8ビットで6万4000ビットとなる。これを64キロビット/秒という。
 人間の聴覚は小さい音の変化は敏感に感じとるが、大きな音量になると、音の変化に鈍感になる。そこで、耳が敏感な小さな音はなるべく細かく、耳が鈍感な大きな音は大ざっぱに数値化している。
 複数の回線を一つの高速な伝送路に時間的に区切って束ねる。これを時分割多重という。光ファイバーをつかうと64ビット/秒の電話回線を2000本多重できる。
 音を波形グラフで表し、これを刻々と高さの目盛りを読みとり、すべてデジタル情報に置き換えるのです。
 要するに、音を電波に乗せるということは音波の速度ではなく、光速(正しくは、その6〜7割)ですすむので、1秒間に地球を7まわり半するだけの長いヒモがあり、そこに、0か1の数をたくさん並べても、並べ切れないほどになるという仕掛けです。
 それでは、いったい、どうやってその長いレールにうまく乗せ、また、それから降ろす(取り出す)というのでしょうか。そこが分からなくなりました。
 それにしても、電話がつながる根本のところが、この本を読むといろいろ図解してありますので、素人にもそれなりに分かります。

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