弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年12月22日

宇宙を読む

著者:谷口義明、出版社:中公新書
 久しぶりに宇宙の本を読みました。この夏は、なぜかベランダに出て月の世界を眺めることが少なかったのです。暑かった割には曇天の夜が多かったのではないでしょうか。望遠鏡で月世界の運河をしばし眺めていると、俗世の憂さを忘れることができます。これは真夏の夜の寝る前の楽しみです。冬を迎えた今はベランダに出るなんて、とんでもありません。ところが、オリオン座など、冬空のほうが星はきれいに見えるんですよね。もう、あと一月もしないうちに除夜の鐘をつきに近くのお寺に出かけます。小一時間ほど山の中腹で空を眺めながら鐘衝きの順番待ちをします。寒い中、焚火にあたりながら星々を見上げます。
 満月の明るさは一等星の26万倍もある。つまり、一等星が26万個も集まらないと満月の明るさには届かない。上弦の月でもその明るさは一等星の2万倍もある。ちなみに、太陽は一等星の明るさの1000億倍。これは満月の40万倍の明るさに相当する。
 星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星。すこしをかし。尾だにながらましかば、まいて・・・。
 これは清少納言の「枕草子」の有名な一節です。私の名前「昴」を「すばる」と読めない人も多いのですが、この「昴」(すばる)は、日本書紀にも出てくる古い言葉なのですよ。
 すばるは、肉眼で見える星は6個だけだが、実は数百個もの星が集まっている。散開星団と呼ばれている。 
 七夕の織女星は見かけの等級は、一等星よりゼロ等星に近い明るさ。しかし、もし織女星が太陽と同じ距離にあったとすると、織女星は表面温度が1万Kと高く(太陽は6000K)、光度は太陽の1万倍もある。これでは、まぶしいどころではなく、人類は生命の危機に遭遇する事態を迎える。
 太陽の表面の温度は6000K。黒点の部分の温度は4000K。そのため、周辺部に比べて暗くなり、黒く見える。
 先日、星野村にある天文台で昼間、太陽と黒点を見る機会がありました。天文台に行くと、真昼間でも星が見えるのですよ。ご存知でしたか。
 私たちの住む地球、そして太陽系をふくむ天の川銀河は、差し渡し10万光年もある巨大な銀河であり、そこには1000億〜2000億個もの星々が存在している。しかし、天の川銀河は、宇宙にたくさんある銀河の一つでしかない。
 果たして、私たちの地球以外にも高度な文明をもつ星と惑星は存在するのでしょうか。
 宇宙全体の質量のうち、陽子や中性子などのバリオンが占める割合はたったの4%でしかない。残る32%はダークマターで、73%はダークエネルギーとなっている。では、このダークマターとかダークエネルギーとは、いったい何者なのか。実は、まだ解明されていない、正体不明の存在である。
 宇宙を撮影した写真は、これまた、この世のものとは思えないほどの美しさです。世界が未知なるものに充ち満ちていること、人間なんて、実にちっぽけな存在であることを実感させられる本です。やっぱり、たまには宇宙の本をひもとくべきだと反省した次第です。

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