弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年11月 2日

山の学校の子どもたち

著者:長倉洋海、出版社:偕成社
 アフガニスタン北部のパンシール峡谷にある小さな山の学校の子どもたちが生き生きと学んでいる様子を紹介した写真集です。1980年からアフガニスタンを撮りつづけている写真家が標高3000メートルの山村に暮らす子どもたちの素顔を撮りました。どの子の顔も、実に生き生きと輝いています。はじける笑顔に圧倒されそうです。
 家から学校までは平均1時間。なかには2時間かけてやってくる子もいます。上流と下流の10の集落から170人ほどの子どもたちが毎日通ってきます。
 早朝の仕事を終え、朝食をとったあと、子どもたちは学校へ出かける。お母さんは、子どもと交代で放牧に行った。学校はお昼で終わる。そのあとは、放牧の仕事につく。
 朝8時から授業が始まる。校舎には窓ガラスも扉もない。たまに放牧中の牛が入ってくると、授業は中断する。教科書が足りないから、一緒に見る。椅子がないから、石を並べてすわる。
 休み時間になると、男の子たちはサッカーに打ち興じる。女の子たちは縄飛びをする。まるで日本の子どもたちを同じです。
 昼食は家からもってきたナンを食べる。学校のそばを流れる用水路の冷たい水を飲む。家で刈り入れが忙しいときには、子どもたちは学校を休んで仕事を手伝う。子どもたちも貴重な労働力なのだ。
 夕方、放牧から戻り、家畜を家に入れると、一日が終わる。
 山の学校の校舎は、戦争中は、難民の避難所としてつかわれ、学校は閉鎖されていた。この学校の机と椅子は、日本人がプレゼントしたもの。日本人のボランティアがここでも活動しているんですね。
 パンシール峡谷というと、ソ連軍がアフガン・ゲリラによって待ち伏せ攻撃などを受けて苦戦したところ、というイメージがあります。写真でみると、パンシール峡谷って本当に美しい地方のようです。でも、戦争のため、子どもたちの身内の多くが殺されているという現実もあります。
 アフガニスタンの山に住む子どもたちの様子を知ることができる素晴らしい写真が沢山あります。

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