弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年10月27日

リビアを知るための60章

著者:塩尻和子、出版社:明石書店
 リビアはアフリカ大陸で4番目に広い国土をもつ国。日本の4.7倍。広大な国土は、93%が砂漠地帯。サハラ砂漠からリビア砂漠がある。しかし、紀元前6000年ころまでサハラ砂漠の大部分は森林や草原だった。リビアには、常に水をたたえて流れる河川は一本もない。食料供給の4分の3は輸入に頼っている。
 スペインはリビアを支配したが、労力を要する植民地支配を避け、港湾だけ支配した。
 イタリアのリビア支配は、オスマン帝国の支配とは比較にならないほど苛烈なものだった。30年間のイタリア支配下で、全リビア人の4分の1が死亡した。1998年になって、イタリアはリビアに対して、占領の賠償金として2億6000万ドルを支払った。
 革命を起こしたとき、カダフィ大尉は27歳でしかなかった。砂漠の遊牧民の子である。
 リビアの人口は900万人。97%がアラブ系とベルベル系の混血。アラビア語が唯一の公用語。しかし、英語はよく通じる。
 リビア人は、ほとんど誠実で穏やかな人柄。おとなしい国民性だが、驚くほど誇り高い人々でもある。
 日本で有名なカダフィ大佐は、カッザーフィーという。37年間も、この広大な国を支配している。革命の直後に、イギリスとアメリカの巨大な軍事基地を撤去させた。銀行は国有化し、新聞社・教会・政党を閉鎖した。石油のメジャー会社の言いなりをやめた。イタリア人やユダヤ人の不在地主の土地も没収した。
 カザーフィーは、首相でも大統領でも、まして国王でもない。わずかに大佐であるだけ。18歳以上の国民すべてが直接国政に携われるという建前のシステムだ。直接民主主義といっても、実際には、上に向かって権力が集中するピラミッド構造であり、あらゆることの決定権がピラミッドの頂点に存在する独裁体制になっている。

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