弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年10月13日

警察VS警察官

著者:原田宏二、出版社:講談社
 警察官でありながら、警察の不正・まやかしとたたかっている人々を紹介した本です。世の中にはこんな勇気をもっている人がいるんだなと改めて人間の偉大さに感銘を受けました。
 警察の裏金づくりは昔からあり、きっと今も続いているのでしょう。ところが、マスコミはまったく問題にしていません。残念なことに権力に歯向かう勇気がないからです。
 裏金の使途は、上層部のヤミ手当、官官接待の費用、異動時の餞別、部内の飲食などにあてられる。その金額は300〜400人規模の警察署で年間6000万円は下らない。現場の捜査員などの激励経費にあてられることもあるが、それは例外。裏金システムは幹部が自由につかうためのものであり、現場の警察官のためのものではない。その手口は全国一律。裏金システムがばれないためのつじつまあわせの事前準備が、国の機関である警察庁会計課の指導で入念に事細かに行われている。
 いやあ、ひどい話ですよね。不法を取り締まるべき立場の公務員が、税金を私物化していて、誰も問題にしないというのですからね。
 勇気ある人々を励ますためにも、ぜひ、あなたにもこの本を買って読んでほしいと思います。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー