弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年9月22日

トンデモない生き物たち

著者:白石 拓、出版社:宝島社
 カモノハシは単孔類というほ乳類の仲間。電気を感じる力がある。電気センサーはくちばしにあり、表面上はただの小さな孔に見える。しかし、その奥には電気感覚をもった神経がずらりと並んだ部分があり、高感度な電気を感じる器となっている。カモノハシは、生き物が出す生体電気を探査していて、それを手がかりに、小エビやザリガニ、水生昆虫などを食べている。
 シロアリはアリとはまったくかけ離れた虫で、どちらかというとゴキブリに近い。ムヘイシロアリは敵が来ると、自分の腹部を爆発させ、体に含まれる有毒物質などをぶちまけて敵に浴びせる。まさに自爆攻撃だ。
 ザゼンソウという植物がある。むかし、尾瀬あたりで見たような気がします。ザゼンソウは、自分で積極的に初熱し、恒温動物のように一定温度に調節する。周囲が氷点下に下がっても、20度の体温を維持することができる。
 クモの糸は紫外線を吸収しやすい素材でつくられている。紫外線は昆虫類にはよく見える。そのため、紫外線を反射しにくいクモの巣は昆虫にはとても見えにくい。
 ウズグモの糸には静電気があるので、近づいた昆虫を引き寄せる。
 ウミホタルは、敵に襲われると、体内の分泌線からルシフェリンとルシフェラーゼを別々に、だけど同時に海中に吐き出す。そして、その二つが混ざると、両者の作用で青く発光する。体外発光する。
 ペンギンは、水中で翼を上げるときも下げるときも前進できる。ふつうは下げるときだけなのに。ペンギンは潜水する深さを計算して息を吸うときの空気量を調節する。浅くもぐるときはちょっと吸い、深いときはたくさん吸う。これは浮力とのかねあい。深いところでは体内の空気が圧縮されて浮力が減るため。浮力と重力がつりあい自由に泳ぎやすくなる。また、ペンギンはもぐっているあいだは、脳以外の臓器への血流を止めてしまう。翼の筋肉にも血液が行かない。筋肉は無酸素で動けるだけ動くのだ。ええーっ、そうなんだ・・・。信じられないことです。
 植物体内にも光をつかった高速通信システムがある。光が植物体内をかけめぐっている。この光は可視光ではなく赤外線。光ファイバーと違って、光が通路すすみながら、少しずつもれている。これは、植物体内に光が供給されていることも意味する。
 わが家にも夜になるとヤモリがよく登場します。窓ガラスにペタリと貼りついて動きません。このヤモリの足の裏は、1本あたり50万本もの繊毛におおわれている。この毛の先端とガラス物質との間に分子レベルの引力がはたらき、接着力のもととなっている。ファンデルワース力という。計算上は、ヤモリ一匹で40キロの重さを支えられるという。たいていの大人は、私ももちろん、天井のヤモリ2匹をつかんだらぶら下がれることになる。本当なんでしょうか・・・。実験したら面白いでしょうね。

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