弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年8月 4日

うちのネコが訴えられました

著者:山田タロウ、出版社:角川書店
 アメーバブログ第1位とオビに書かれています。「実録ネコ裁判」を一冊の本にしたものです。裁判に一度も関わったことのない人にとっては、その顛末がきっと面白いのだと思います。
 実は、私も目下、お隣りに住む暴力団員から、おたくのネコがうちの高級外車を傷つけたとして損害賠償を求められた裁判を扱っています。といっても、裁判を起こしたのは私の方です。コワーイお兄さんと直接交渉するのは遠慮したいので、裁判所を中に入れることにしたのです。
 「うちのネコ」がその車の上に何回も乗って爪でキズつけたというのが先方の主張です。でも、何の証拠があるわけでもありません。車の上に「うちのネコ」が乗っている写真もなければ、「うちのネコ」がその高級外車を傷つけたという証拠もないのです。いや、おまえのところの白いネコが車にキズつけているのをオレは確かに見たんだという「証言」があるだけなんです。それで100万円の請求です。
 この本では高級外車BMWの上に被告の飼いネコがたびたび乗って、その爪で傷をつけたとして、修理代金110万円が請求されています。そして、ネコが車の上で寝ている写真などが証拠として提出されています。裁判の2回目で2人の証人が調べられ、原告と被告の本人たちも証言します。なんと、定刻の5時を過ぎて、6時ころまで証人調べがおこなわれました。ええ、ときどきあるんです。裁判所では5時前に終わるのがあたりまえではありますが、まれに夜8時とか9時すぎまであることも絶無ではありません(ただし、私は経験したことはありません)。
 原告が当然のことながら立証に失敗して、原告の請求は棄却となりました。あっ、これは本人訴訟です。弁護士のところに相談に行ったのですが、合計したら弁護士費用が20万円以上かかるだろうと言われて、自分でやることにしたのでした。
 そうなんです。裁判は自分でもできるんです。でも、それには相当勉強もしてから行くようにしてくださいね。裁判を甘く見ていたらいけません。
 といっても、弁護士をつけない本人のほうが勝つことがないわけではありません。そんなときには大金をいただいている弁護士としては、本当に申し訳なく思ってしまいます。トホホ・・・の心境です。
 朝、わが家から出た蛇が隣家へ遊びに出かけているのを見つけました。1メートルくらいの長さの元気な蛇です。暑いなか、ご苦労さん、と声をかけてやりました。真紅の朝顔、爽やかなブルーの朝顔が咲いていて、雨戸をあけるときが楽しみです。夏本番は今しばらく続きそうですね。いただきもののウナギを食べて精をつけながら、この夏を乗り切るつもりです。

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