弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年7月28日

わが名はヴィドック

著者:ジェイムズ・モートン、出版社:東洋書林
 1817年にヴィドッグの12人の部下は、811人を逮捕した。殺人者15人、窃盗犯341人、古買屋38人、脱獄囚14人、監獄に戻らない者43人、詐欺師46人。
 ヴィドッグは、警察につとめているのに、本人は1796年の文書偽造事件の有罪判決が生きていて、指名手配中であった。
 ヴィドッグは、パリ警視庁の特捜班長に任命された。給料は6000フラン。
 ヴィドッグは、1832年、世界初の探偵事務所を設立した。年会費20フラン、面接一回につき5フランという料金だった。
 私立探偵を頼んだ依頼者からその法外な値段を聞いて驚いた弁護士は多いと思います。なにしろ1週間、浮気相手の尾行追跡で300万円支払ったというのは珍しくありません。
 ヴィドッグの私立探偵としての仕事の多くは借金の取り立てでした。
 1847年、ヴィドッグの探偵事務所は閉鎖された。
 ヴィドッグは、犯罪者や容疑者の肉体的特徴を記録したカードの集積を始めた。まだ指紋がつかわれていない時代である。
 ヴィドッグはバルザックの大犯罪者ヴォートランの原型であり、ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」のジャヴェール警部とジャン・ヴァルジャンの両者のモデルでもある。そして、シャーロック・ホームズの好敵手アルセーヌ・ルパンのモデルでもある。
 犯罪者が警察の側にまわり、部下にも元犯罪者をたくさん集めて、犯罪者の検挙で成績を上げるという話です。

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