弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年7月28日

ユダの福音書を追え

著者:ハーバート・クロスニー、出版社:ナショナル・ジオグラフィック
 私はキリスト教の旧約聖書も新約聖書も読んだことがありませんので、ユダの福音書についても、実はまったく分かりません。無神論者の私ですが、苦しいときの神頼みは昔も今もしています。この本は、ユダは裏切り者ではなかったことが判明した古本が見つかったという表題にひかれて読みました。
 発見・復元・解読を追った衝撃のドキュメント。オビにはこう書かれています。なるほどそのとおりなのですが、素人にも分かりやすく肝心の福音書の要点をもっと説明してほしかったというのが率直な感想です。その点が物足りないため、この本全体がまがいものなのでは・・・、という疑いすら払拭しきれません。
 ユダといえば、イエスの弟にもユダ・トマスがいたそうです。知りませんでした。
 「ユダの福音書」におけるユダは、イエスに特別扱いされる選ばれた弟子だ。イエスは自分に忠実なこの弟子に、皆を導くあの星がおまえの星だと告げている。イエスをユダヤ人指導者たちに引き渡すようユダに求めたのは、ほかでもないイエスその人だった。イエスは誠実な弟子であるユダに約束する。おまえの星、ユダの星は天に光り輝くだろう。
 これまでとは異なるイエカリオテのユダの像が浮かび上がる。裏切り者というより、むしろ他の弟子たちから抜きんでた特別な存在だ。
 イエスの生きた時代に続く百年のあいだに書かれたことを考慮すると、この福音書は初期段階のキリスト教信仰やその多彩な活動について、これまでにない味方を提供する衝撃的な書だ。
 「ユダの福音書」に裏切りという題材が登場しないのは、ユダが主を裏切っていないからである。むしろユダはイエスの望みをかなえたのだ。ユダは弟子のなかでも抜きんでた存在であり、他の弟子たちの影は薄い。ユダは、成就のためにイエスが選んだ道具だった。
 イスカリオテのユダは、イエスに愛された弟子であり、かけがえのない親友だったのだ。このように書かれていますが、どうなんでしょうか・・・。この本の評価を、どうぞ教えてください。

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