弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年4月24日

またまた、へんないきもの

著者:早川いくを、出版社:バジリコ
 私は、いつも奇人・変人と言われています。もっとも、本人はいたって平凡な常識人だと自負しているのですが・・・。テレビを見ない。プロ野球にもゴルフにも興味がない。カラオケも歌謡曲も大嫌いだ、なんていうと、やっぱり、この世の中では変人の類なのかもしれません。でも、でもでも、この本を眺めると、私のようなものはまだまだ変人なんて域には達していない、単なる凡人でしかないことを確信します。
 そう、そうなんです。自称・他称の奇人・変人に生きる勇気を与えてくれるのが、この本なんでーす。いかにも奇妙奇天烈な変てこりんの生き物たちの堂々たるオンパレードです。本当は絵を見てもらえば、その妙ちくりんの姿につい笑いたくなるほどなのですが、ここでは示すことができませんので、機能の方で、その変てこりんぶりを紹介します。
 ツノトカゲは追いつめられると、なんと目から血を発射して敵を威嚇する。射程距離は1メートル。発射後は角膜がきれいになるのをぐっと待つ。ビーム砲のように血液を噴射するなんて、まさに怪獣ですよね。
 セアカサラマンダーは、一夫一婦制の両生類。メスはよそのメスとつがった浮気なオスに対し、殴る、かむなどの激しい攻撃を加える。おー、こわ、こわ・・・。
 地球で一番長大な生物はクジラでもヘビでもない。なんと、クラゲ。体長40メートルのクラゲ。しかし、このクラゲは、遊泳、消化、浮力調整、生殖など、それぞれが機能別に変身している。つまり集団でありながら一匹の生物としてふるまう群体生物なのだ。
 シュモクバエでは、オス同士は顔つきあわせてお互いに目玉の離れ具合を入念に計測する。目と目の距離はオスの遺伝子の優秀さを表示している。この計測で勝負が決まると、敗者は黙って引き下がる。うーん、潔ぎよい・・・。
 ホシバナモグラは、鼻が星のようにヒラヒラしています。まるで変です。でも、鼻先にある22本のセンサーは常にピクピクと動いて、世界を触覚で認識しているのです。世界でもっとも精密なセンサーと言えます。接触した物体が獲物かどうか、0.025秒で判断し、0.205秒で捕獲。合計0.23秒でたいらげるのです。触覚のみで、この速さなのですから、たいしたものです。わが家の庭にもモグラがいることはまちがいありません。しかし、残念なことにヘビと違って、一度もお目にかかったことがありません。一度ぜひ、そのご尊顔を拝閲させてください。
 マダラコウラナメクジは長さが20センチにもなる。連れ添う2匹が50センチに及ぶ粘液の糸をくりだして逆さ吊りになる。そして吊られたまま、銀の粘液に光る肌を寄せあい、絡ませ、よじらせ、身悶えしつつ互いにその身を溶けあわせる。雌雄同体生物であり、両性具有者である。ペニスの長さは85センチにも達し、うっかりするとこんがらがってしまう。ペニスは、プロペラのように、渦巻きのように、そして相手をまさぐる恋人たちの手のように変幻自在に形を変え、ねっとりと舐めあい、溶けあい、互いに精子を交換する。
 フランスの自然を観察した映画(「ミクロコスモス」だったと思うのですが・・・)に、カタツムリの愛の交歓をうつしたものがありました。いかにもなまめかしい愛撫がえんえんと続き、ポルノ映画でも見ているようにゴクリとツバを飲みこみ、圧倒されながら見入ってしまったことを思い出します。
 サナダムシの長さは長くて12メートル。人間の腸は9メートル。今までで一番長いサナダムシは25メートルあった。サナダムシは全身が生殖器といってもいいくらいで、1日に200万個の卵をうむ。そして、最盛期には1日に20センチは伸びる。
 いやはや、いろんな生き物がこの世にはいるもんですね・・・。

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