弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年4月21日

地球遺産、巨樹バオバブ

著者:吉田 繁、出版社:講談社
 バオバブの見事な写真集です。一度はホンモノを見てみたいと思うのですが・・・。
 この4月から、NHKラジオのフランス語講座の応用編は有名な「星の王子さま」です。そのなかにバオバブが星を食べつくすという話が出てきます。もちろん、そんなことはありません。それどころか、バオバブは人間にとって大変役に立つ木なのです。
 樹皮はロープやカゴに、花や葉は食料に、種子は食用油に。樹皮は薬としても優秀で、マラリアや下痢止め、解毒、腰痛などに、葉はぜん息、利尿剤、結膜炎、根はマラリアや強壮剤に、果肉は火傷や結核、果皮は傷、手指は虫歯、はしか、胃炎、バオバブはほとんど万能薬。葉は食用にもなる。若葉は少し粘り気のあるオクラのよう。バオバブの果肉は子どものおやつ。少し酸っぱいサツマイモのような味がする。果肉をとったあとの実の外側も容器として使う。これでビールを飲むと美味しい。そうなんですか・・・。ちっとも知りませんでした。
 マダガスカルの人口は、30年前に600万人だったのが、今や1800万人。お米を主食としているので、水田をつくる。この水田開発のおかげで、バオバブの巨木がバタバタと倒れはじめている。いやー、困ったものですね・・・。
 バオバブの木は神さまが逆さまに植えた木とも言われている。内部の木材繊維が極端にやわらかい。桐の木は軽いと言われているが0.28gの比重に対して、バオバブは  0.15しかない。四季がないため、内部に年輪がなく、スポンジのような幹のなかにたくさんの水分をためている。ちょっとした水がめのような構造なのだ。そのかわり、樹皮がすごく発達していて、大木では15センチにもなっている。根も肥大化している。根にも貯水できるようにするため、葉の数を減らすので、あんな格好になっている。
 葉が少ないので、光合成は、樹皮の下を葉緑素で緑色にして解決している。いわば、サングラスをかけて効率的に光合成をしている。
 ゾウがバオバブの樹皮を、マントヒヒが実を食べている。幹の洞にはコウモリ、根元にはヘビが棲んでいる。ゾウはバオバブの内部を食べて、乾期のときの水分補給をしている。だから、バオバブの天敵は、ゾウとカミナリだ。
 バオバブの木は1000年以上は生きるとみられています。
 マダガスカルもアフリカも行けそうもありません。せめて、オーストラリアに行ってみてみたいと思っています。幹回りが45メートルとか、54メートルなんて、その大きさは、とても信じられません。でも、なんとなく見ただけで、なつかしさを覚える木ですよね。ところで、バオバブの木って分かりますよね。ほら、航空会社の大きなポスターにうつっている太った木があるじゃないですか、あの木のことですよ。

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