弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年3月 7日

21世紀の特殊部隊

著者:江畑謙介、出版社:並木書房
 主としてアメリカ軍の特殊部隊がつかっている特殊装備が紹介されています(下巻)。
さまざまな小火器、通信機が紹介されていて、驚きます。
 携帯式翻訳機(フレーズレター)には、アフガニスタン作戦用のものがあり、パシュトン語、ダリー語、ウルドゥー語、アラビア語の1500のフレーズがおさめられていて、電子合成語でフレーズを発音することもできるそうです。
 防寒用の下着は4層になっていて、マイナス40度まで耐えられる。
 防弾チョッキはケブラーというアラミド系の人造繊維をアメリカのデュポン社が開発し、世界の90%を占めている。この防弾チョッキは14〜16層で構成され、ナイロン製より50%も軽い。3キログラムほどの重さ。20層とすると6キロの重さになって、長時間の着用と敏捷な動きが難しくなる。
 シークレットサービスや要人のつかう防弾チョッキは2キロほど。ただし、防弾チョッキの耐弾性が高まると、命令した衝撃による身体への外傷性障害(ブラント・トラウマ)が問題となる。やはり、身体は打撃を受けるのである。
 飛行機、ヘリコプター、船などについても、特殊装置の概説があります。
 先日、天神の映画館で「ジャーヘッド」というアメリカ映画を見ました。アメリカによる湾岸戦争のとき、砂漠地帯へ侵攻したアメリカ海兵隊の兵士の生活を紹介しています。
 海兵隊の新兵教育とその訓練過程については、ずい分前に見たベトナム戦争のときの映画「ハンバーガー・ヒル」とまるで同じでした。要するに人間をバカそのものにして、何も考えず、ためらいなく人を殺す殺人マシーンに仕立てあげるのです。そのしごきはすさまじく、軟弱な私にはとても耐えられそうにありません。
 湾岸戦争のとき、狙撃兵として出動を命じられ、イラク軍の幹部を殺そうとしたとき、突然、「撃つな」と命令されます。空爆で片づけるからだというのです。
 人間が人間を殺すことがいかに大変なことかということ、同時に、空爆によって大量無差別にイラクの市民が殺害された現実が描かれています。
 アメリカが世界の憲兵だなんて、とんでもありません。それはアメリカの勝手な思いあがりでしょう。世界の各国、各民族はアメリカのために生きているわけではありません。アメリカのおかげで平和が保たれているのではありません。むしろ逆ですよね。世界中で起きている戦争に戦争にアメリカが関わっていないものがあるでしょうか・・・。私は絶対にアメリカによる世界支配なんて許しません。

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