弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年2月10日

戦争の時代と社会

著者:安田 浩、出版社:青木書店
 朝鮮戦争に日本は事実上「参戦」していたという指摘があり、目を見開かされました。
 第1に国鉄の大動員。国鉄は朝鮮戦争が始まるとともに、米軍の人員と物資輸送にとりくみ、大量の臨時列車、客車・貨車を動員した。その規模は国鉄の軍事輸送史上最大のもので、15年戦争期のそれを上まわっていた。
 第2は、海上保安庁の特別掃海艇25隻の出動。朝鮮水域の掃海に出動した者は2ヶ月間でのべ1200人いた。
 第3に、米軍によって調達に応じさせられ動員された日本人船員。特別調達庁との関係で朝鮮戦争に協力して死亡した日本人が56人いた。
 第4に、看護婦の動員。国連軍の野戦病院には九州各地の日赤支部から多数の看護婦が動員されていった。
 第5に、兵士として戦死した日本人がいた。コックや塗装工として米軍基地で働いていた若者が、そのまま朝鮮へ連れていかれて兵士として参加し、戦死した例がある。
 第6に、民団系在日韓国人団体による義勇軍の存在。総数642人が参戦した。
 本当にいろいろと知らないことがあるものです。驚いてしまいました。

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