弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年12月28日

霊長類のこころ

著者:ファン・カルロス・ゴメス、出版社:新曜社
 ゴリラは、生後10ヶ月から12ヶ月のあいだは、目的物に身体が到達する延長として棒をつかい、生後24ヶ月から26ヶ月では手が届く範囲を拡張するため道具をつかう。人間の赤ん坊では、その逆がおきる。似てるようで、違うんですね。
 チンパンジーは、好きな飼育係が天井からぶら下がったバナナを取ろうとしてむなしくあがいているビデオを見せられると、その次に、何のためらいもなく、その飼育係が箱によじ登っている写真を選ぶ。逆に、ビデオにうつっている人間が嫌いな人間だったら、問題が解決されたという写真ではなく、箱から転げ落ちるなど、ひどい結果になる写真を選ぶ。えーっ、そうなんだー・・・。驚いてしまいました。
 サルたちのかわしあう声には大きな意味がある。ヒョウに対する警戒音を聞いたときには木に登る。ワシに対する声を聞いたら、草むらに入った空を探す。ヘビに対する警戒音のときには、すぐに二本足で立ち上がって地面を探す。サルは、それぞれの警戒音に適切に反応する。
 自閉症の子どもは他人の手をとって身振りするときに、その人の目を見ないのが普通。しかし、ゴリラは、他人の手をとり、その人の目をのぞきこむ。
 チンパンジーのベルという名前のメスは順位が低かった。ベルが情報源となって仲間を食物のありかに連れていく役まわりのときには、ベルは食物にありつけない。なぜなら、他の高順位のオスなどが先に食物に走っていき、全部食べてしまうから。
 だから、ベルは食物のある方向へ歩いていくのをやめた。しかし、賢いチンパンジーがいて、ベルの行動をよく見て、ベルの視線の方向から食物のある方向を見抜いた。そこで、ベルは最後には、ばれないように目をそちらに向けないようにしたうえで、違う方向に歩いていった。うーん、チンパンジーは本当に賢いんですね。仲間をだます術も身につけているわけです。

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