弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年11月28日

庭仕事の喜び

著者:ダイアン・アッカーマン、出版社:河出書房新社
 田舎で弁護士をする最大のメリットは、なんといっても恵まれた自然のなかで毎日の生活を送ることができることです。四季の移り変わりを愛でて楽しむには、なにより庭に出て草花と触れあうのが不可欠です。いえ、地中にはミミズもモグラもいて、地上には小鳥だけでなく、クモもヘビもいます。といっても、クモの巣が庭にはりめぐらされるのは廃屋のようで、困ります。ですから、クモさん、悪いね。そう言いながら、クモの巣を払いのけています。
 これを書いている11月上旬の今、わが家の庭にはツメレンゲの白い花が咲き、ネムの木が線香花火のような艶やかなピンクの花を咲かせています。妖しいほどの魅力がありますので、ついつい触れてみたくなります。これって美人と同じですよね。
 四季咲きのクレマチスも2輪ほど花を咲かせています。キンモクセイは10月末に咲き匂い終わりました。芙蓉の花が終わったので、根元から枝を切ってやりました。酔芙蓉もあります。午前に純白の花を咲かせ、午後遅くなると赤みの濃い花となりますので、その名のとおり酔っ払った佳人(美女)のなまめかしい風情です。
 花は詩に似ている。喜びを求めれば、花はあなたを喜ばせてくれる。深い真実を求めて花を眺めれば、思いをめぐらす種は尽きない。
 花はとても大胆な目的を持っている。官能的であることが仕事であり、欺くことは天賦の才だ。賄賂を差し出したり、変装したりは得意技で、疑うことを知らない旅人たちを騙す。彼らがかたる物語は正直で、淫乱さとは無縁なので、自然は裁かないし意図しない。ただ実行するだけだとつくづく感じさせる。
 ザゼンソウは早春に、主根のでんぷんを糖に変化させることによって、花が熱を発する。糖はすばやく激しく燃焼し、ときには周囲の雪をとかすことさえある。ザゼンソウは動物のようだともいえる。寒いときには、熱を発して体を温める。
 ひやー、そうなんだー・・・。ちっとも知りませんでした。まるで動物ですよね。
 チューリップは数年しか花を咲かせない。秋に植えた元の球根は複数の子球根をつくり、それらは親のエネルギーを不均等に受け継いでいる。花を咲かせた後、元の球根は死んでしまい、子のなかでもっとも強いものが次の季節に花を咲かせる。毎年エネルギーが分散されるので、そのうちに球根は単純に、自ら消耗してしまう。だから私は、チューリップは一年草として扱い、咲いているあいだを楽しみ、約束を期待せず、翌年も花が咲いたら幸運だと思うようにしている。
 私も、毎年秋になると、300個から500個のチューリップの球根を植えています。チューリップは密植した方が見映えがいいのです。ですから、畳一枚分くらいに100個ではスカスカした感じで、とても足りません。庭のあちこちに分散し、そして集中して植えていきます。9月から12月にかけての日曜日ごとの楽しい作業です。春、チューリップの花が咲き終わっても、しばらくそのままにしておきます。そのうち掘りあげてしまうのですが、それは次の花を植えるためのものです。掘りあげた球根を翌年につかうつもりで何度か試みましたが、たいていは小さく分球していてモノになりませんでした。ですから、まあ花屋さんが喜んでくれるのだからと考え、いつも数万円分の球根を買って植えています。もちろん一度に買うのではありません。生協で大量に注文し、そして町の花屋さんでも少しずつ買っては植えていくのです。
 ちなみに、チューリップにもいろいろな新種がありますが、やはり昔ながらのチューリップが一番いいようです。小学校1年生のときの教科書にチューリップの花の絵があったことを、今もよく覚えています。フリンジのついたものとか、八重咲きのものなどは、そのうちに飽きがきてしまいます。

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