弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年11月11日

私のアフガニスタン

著者:駒野欽一、出版社:明石書店
 駐アフガニスタン日本大使がアフガニスタンの復興のために活躍していることを知りました。やはり、日本は自衛隊を派兵するのではなく、もっと地道な国際貢献をすべきだと思います。そして、日本もフランスなどのように、もっとNPOの活動を支援すべきです。
 著者はDDRの運営委員会の委員長の要職にありました。DDRとは、武装解除、除隊、元兵士の市民社会復帰支援活動のことです。軍閥が群雄割拠するアフガニスタンで治安を回復して民生を安定させるために不可欠な活動です。国連の活動の一環ですから、私も DDRに声援を送りたいと思います。
 アフガニスタンは人口の3分の2が読み書きができず、人口の80%が交通不便な農村地帯です。そんな人口2500万人のアフガニスタンで大統領選挙のために1050万人が有権者登録をし、70%が投票したのです。すごいことです。国民はBBCとかVOAの現地語放送で、かなり外の出来事をつかんでいるといいます。
 DDRを前進させるために東京で開いた会議も役に立ったということです。
 アフガニスタンの指導者は、みな大変演説がうまい。なぜか。
 自分たちは、食べるものも武器・弾薬もままならないなかでの闘いを余儀なくされてきた。お腹をすかした部下に戦いを続けさせるのは大変なこと。彼らを説得するために、何を、どう言うか一生けん命考えた。教養があるわけでもない若い兵隊を納得させるには、こちらも必死に考えて話さなければならない。
 なーるほど、ですね。
 カブール市内には、日本から持ちこまれた中古自動車が氾濫していて、交通渋滞もあっているそうです。
 著者は現地の言葉であるタリー語を話せ、集会での挨拶をうまくこなしてきたとのこと。平和憲法をもっているからこそ、諸外国が日本を信頼している。このことを改めて思い知らされたことでした。日本もフランスにならって、もう少し自主的な外交努力をすべきではないでしょうか。いつもいつもアメリカに、下駄の雪のように、くっついているばかりでは情けなさ過ぎます。その意味で、私は日本の外交官の仕事はちっとも評価していないのですが・・・。

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