弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年10月20日

国際離婚

著者:松尾寿子、出版社:集英社新書
 外国人の伴侶を見つけて国際結婚をしたいと願うのは、圧倒的に日本人女性の方が多い。彼女らは、決して小額とは言えない費用を支払って国際結婚紹介所に登録する。彼女らは、映画やテレビで見た世界から連想するようなアッパークラスの生活を夢見る。しかし、上流クラスの人たちと結婚することが、どれだけタフな神経を要求されることなのか、彼女たちは肝心なことが分かっていない。言語を操れるのは当たり前。それよりも話す内容が重視される。料理ができるかなんて、そんなのは問題じゃない。とてつもない錯誤がある。しかし、その錯誤によって、国際結婚紹介ビジネスは成りたっている。
 私の住む小都市にも、国際結婚紹介業を営む40歳代の男性がいます。近所にできた大手スーパーにおされて家業が倒産したあと、ショーパブで働く外人タレント向けの宝石販売業をしていましたが、もっともうかるビジネスに転身したのです。成約すれば、かなりの一時金が入ってくるそうです。では、そのあとで破綻したら、どうするのかと訊いたら、それなりのフォローはするけれど、もちろん責任をとることはないということでした。
 国際結婚は年間3万件。国際離婚は年1万5千件。日本人夫と外国人妻の離婚が1万2千件。日本人妻と外国人夫のそれは3千件。
 イギリスでは、離婚に合意しているときの別居期間が2年間、合意がなくても5年間の別居を証明できれば離婚できる。ドイツでは、それが1年と3年と短く定められている。
 日本と海外とでは、このように離婚に関する手続が異なっている。海外では専業主婦は不利に扱われることが多い。
 イスラム社会では、マフルという日本の結納金にあたる慣習がある。夫が離婚したいと行っても、このマフルを全額支払わない限り、夫側に離婚の権利はない。
 アメリカは、経済力が高い配偶者が親権を主張すれば、それが認められる国。もし母親が無職なら、働いている父親に親権がいくことはめずらしくない。
 結婚が破綻したとき、これからどういう人生を送っていきたいかと問いかけて答えられない日本人女性が少なくない。自分の人生すべてを国際結婚にかけ、結婚にあわせた人生設計をしてきたからではないか。それは時代に逆行している。
 離婚して子どもを連れて日本に帰ってきても住みにくい国。これが日本なのに、ちっとも分かっていない・・・。
 私の娘も海外に2年ほど住んでいました。それこそ国際結婚でもするのかと心配していましたが、なんとか独身のまま帰国してきました。生活習慣の違いなどを乗りこえるのがいかに大変なことか、この本を読むと改めてよく分かります。
 関東地方に育った私の配偶者は、いまでも豚骨スープの博多ラーメンは性にあわないといって食べようとしません。ラーメンは、やっぱりしょう油味がいいというのです。逆に私には、あんな水っぽいラーメンなんて本物のラーメンじゃないとしか思えないのですが・・・。

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