弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年9月30日

闇先案内人

著者:大沢在昌、出版社:文春文庫
 こうも簡単に人が殺されていくと、手に汗を握るというより、背中に氷のかけらを投げこまれた気分になって、身も心も冷えびえとしてきます。
 私の担当した刑事事件の被告人から、日本でも簡単にピストルが手に入るというのを聞いて恐ろしくなりました。ピストルの売買がチンピラ・ヤクザのレベルでも、こずかい銭稼ぎになっているというのです。現実の話ですから、怖いものです。
 話は、北朝鮮の支配者の子と思われる要人が日本に潜入してきたことから始まります。総連内部には警察トップと密接なつながりをもつ人間がいて、また反対勢力もいて、お互いにしのぎを削ります。ありそうな話と、とてもありえない話とが混然一体となり、バイオレンスたっぷりに展開していきます。
 逃がし屋だとか、変装するための顔師だとか、平凡な日常生活ではとても考えられない職業(プロ)の人々が登場してきます。うーむ、世の中にはそういう人もいるのかー・・・と思いました。
 なんとなく救われない気になってしまう、暗いヤクザなお話です。

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