弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年9月30日

鉄剣銘115文字の謎に迫る

著者:高橋一夫、出版社:新泉社
 埼玉(さきたま)古墳群のひとつ稲荷山(いなりやま)古墳より出土した鉄剣から115文字の金錯銘(きんさくめい)が発見されたのは1987年のこと。もう30年近くも前のことになります。えっ、もうあれから30年もたったのか・・・。当時の驚きを思い出してしまいました。
 西暦471年の雄略天皇のときの豪族がもっていた鉄剣です。でも、その豪族が、畿内の豪族で東国に派遣されてきたのか、在地の豪族だったのかについては説が分かれ、今も確定していません。私は、そもそも邪馬台国九州説の熱烈な信奉者ですから、地方豪族説に当然のことながら左担します。
 同じ雄略天皇の銘のある直刀は熊本の江田船山古墳からも出土しています。この江田船山古墳には私も何度か行ったことがありますが、よく整備されていて、なるほど相当の力を持った豪族がかつて君臨していたことをしのばせるに十分な雰囲気です。
 90頁ほどの薄い冊子のような本ですが、カラーの写真と図版もあって、世紀の大発見がどこまで解明されたのか、素人にもよく分かるように解説されています。
 1500年以上たった今も金色に光り輝く鉄剣銘をじっくし眺めて、過去の日本を想像してみるのも心楽しいひとときです。

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