弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年9月26日

草花のふしぎ世界探検

著者:ピッキオ、出版社:岩波ジュニア新書
 このところ、あまりの暑さに閉口して山にのぼっていませんが、月1回は近くの小山にのぼることにしています。わが家から380メートルの頂上まで、およそ1時間かかってのぼります。おにぎり弁当とミニ缶ビールをリュックに入れて、頂上付近にある開けた草原でお弁当を開きます。下界でアリのようにうごめいている人や車を眺めながら、気宇壮大な心境でおにぎりをほおばると、全身が充実感に包まれます。冬は、石のベンチの上で寝ころがってしばし日光浴をします。夏でも、さすがに頂上は涼しい風邪が吹いていますので、上半身裸になって憩いのひとときです。
 四季折々の草花を眺めながら歩くと、自然のなかに身体が溶けこんでいく気がします。おかげで、花や植物の名前も少しずつ覚えられるようになりました。
 この本には、4月上旬に地上へ顔を出したアズマイチゲが白い花を咲かせるまでの3日間の連続写真が紹介されています。なーるほど、ね。そう思っていると、次は、1ヶ月ちょっとしたらやがて枯れていく様子まで連続写真で紹介されているのです。こうやって、野に咲く花の一生を見てみるのも面白いものです。ところが、このアズマイチゲは、花を咲かせるまでになんと10年近くもかかっているというのです。まさに花の生命は短くて・・・、ですね。
 夏の高原の写真があります。私は、大学1年の夏、学生セツルメントサークルの夏合宿で4泊5日、那須の三斗小屋温泉に行ったことがあります。黒磯駅からバスに乗って、終点で降りて2時間ほど山道を歩いたところにある秘境の温泉です。そのころは電気もなく、ランプ生活でした。煙草屋旅館と大黒屋旅館の2つがあり、私たちは煙草屋旅館に泊まりました。50人ほどの男女学生が日頃の地道な実践活動を交流し、生き方を語ったのです。とても刺激的な合宿でした。周囲の野山にハイキングにも出かけました。黄色いニッコウキスゲやキンバイソウそして紫色のマツムシソウ、ヤナギラン、シモツケソウ、ハクサンフウロ、橙色のクルマユリなどが、あっそうそう、湿原地帯もあり、その水辺には水芭蕉の花も咲いていました。決して忘れることのできないなつかしい思い出です。
 ちなみに、翌年夏の合宿は、奥鬼怒の八丁の湯温泉でした。旅館に面した崖の途中に露天風呂があって、夜中にみんなで入って月見を楽しみました。

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