弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年9月 5日

帰宅の時代

著者:林 望、出版社:新潮社
 リンボー先生のエッセイです。私と同じ団塊世代です。「イギリスはおいしい」などで有名ですから、てっきり英文学者だと思いこんでいましたら、なんと、専攻は日本書誌学というのです。それを生かしてケンブリッジ大学の図書館にある日本の古典1万冊を1年かけて分類し、賞をもらったというのです。すごいですよね。1日に40冊ずつ調べるというのですから・・・。
 1年間、毎日毎日、開館から閉館まで図書館にこもって調べあげたのです。最後の1冊を調べ終わったのは、なんと帰国する前日の午後4時だったというのですから、ハンパじゃありません・・・。
 リンボー先生は、自分を磨くのに必要なものに関しては投資を惜しまないと書いています。大賛成です。私も本と年1回の海外旅行には投資を惜しまないことにしています。本は読めそうなだけ、もてるだけ買います。海外旅行は40歳になってから、少なくとも年1回してきました。41歳のとき南フランスに40日間いたのは最高でした。今年もフランスに2週間行って帰ってきたばかりです。弁護士になって以来勉強しているフランス語のおかげで、日常会話には不自由しません(仏検準一級にも一度受かりましたが、今年は不合格でした。ペーパーテストで合格基準点スレスレの73点をとり、口頭試問で25点でしたので、最終合格基準点99点に1点足りませんでした。米国産牛肉の輸入再開に賛成か反対か。3分前に問題文を出されて、3分間スピーチをしなければならないのですが、うまく語れませんでした。まだまだです。フランスの美術館で解説を聞いてすぐに分かるようになりたいと思って、相変わらず、毎日、ラジオ講座も聞いて勉強しています)。
 継続は力なりと言いますが、私も実感として、本当だと思います。リンボー先生は、そのためには強い意志をもつことをすすめます。そして、それには自分自身をしっかり見つめ続けなければいけない。身のまわりにいる他人に流されない。時間は有限なので、一つのことに集中して自己錬磨をしようと念じたなら、他のことは犠牲にせざるをえない。自己錬磨とは、時間を他人のためではなく、自分のために使うことだと思い定めること。人づきあいは自然に悪くなる。変人扱いされることもあるだろう。それに耐えて、自分を貫けるかどうかだ・・・。
 まったくリンボー先生の言うとおりだと思います。リンボー先生は、国民の祝日、休日をカレンダーの上からきれいさっぱり消すことを提案しています。私も、もろ手をあげて大賛成します。ゴールデンウィークなんて、とんでもないことです。休暇は、自分のとりたいときにとれるようにすべきものなのです。お上(おかみ)によって一律に与えられた「お仕着せ」の休日なんて百害あって一利なしです。
 自民党は国民の休日をふやそうとしてきましたが、あれは典型的なインチキです。レジャー産業にとっても、ゴールデンウィークだけ繁盛して、あとは閑古鳥が鳴いている現状を喜んではいないと思います。コンスタントにお客が来た方が、双方にとってよいのです。
 フランスに行って、キャンピングカーが本当に目立ちました。長い長いバカンスを自分の好きなようにウロウロしているのです。これこそ最高の心身のリフレッシュだと思います。労働者に有給休暇を未消化させたら企業は罰せられる。そんな社会に日本も早くしたいものです。

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