弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年7月15日

北条政子

著者:関 幸彦、出版社:ミネルヴァ書房
 源頼朝の妻であった北条政子の一生をたどった本です。昔から日本の女性は弱かったどころか、男どもをしたがえてきたことを象徴する女性のひとりとしてあまりにも有名です。
 室町時代の一条兼良(かねら)は「樵談治要」のなかで、「この日本国を姫氏国(ひめうじこく)といい、女の治むべき国という」とし、北条政子を「天下の道理」に明るいと賞賛しています。
 また、僧慈円の「愚管抄」には、「女人(にょにん)入眼(じゅがん)の日本国、いよいまことなりけと言うべきではないか」として、女性が力をもって日本を動かしていることを賛嘆しています。このときの女性は北条政子と、その協議相手として登場する後鳥羽上皇の側近として大きな権勢を誇っていた藤原兼子(けんし)でした。
 のちに後鳥羽上皇が北条義時の追討の宣旨を下した承久の乱のとき、北条政子は並みいる武将を前に大演説をぶって、御家人たちを奮いたたせたというのは、あまりに有名な話です。御家人たちに頼朝が幕府を開設する前のみじめな生活を思い出させ、そんな昔に戻ってよいのかとたきつけたのです。すごい演説です。

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