弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年7月14日

田んぼの虫の言い分

著者:むさしの里山研究会、出版社:農文協人間選書 
 英語でトンボをドラゴンフライと呼ぶ。ドラゴン(龍)はキリスト教ではサタンを意味するので、欧米人はトンボを忌み嫌う人が多い。ところが、日本人は世界でもたぐいまれなトンボ好きの民族だ。トンボ屋と呼ばれる愛好家は日本全国に300人はいる。
 たしかに、トンボは子どものころ大の仲良し昆虫でした。ギンヤンマのトンボ釣りが紹介されています。残念ながら私はやったことがありません。オニヤンマを捕まえたことは何度もあるのですが・・・。
 ギンヤンマは、メスと糸でくくり、おとりとしてオスの前に見せびらかすと、オスはメスにつるんで、容易につかまえることができる。これはギンヤンマの弱点を利用したもの。メスをみると、オスの警戒心は消え去り、性欲がむき出しになって、メスにとびかかってしまう。そこで捕まえられるわけ。でも、メスは一体どうやって捕まえるのか・・・。そんなときには、オスをメスのように見せかける。オスは腹部の付け根が水色をしているが、メスは緑色。そこで、オスの腹部を緑色に塗り替えて、メスに見せかけて、おとりに使うという仕掛け。ふーん、そうなんだー・・・、と思いました。
 わが家の庭にも、夏の終わりごろになるとたくさんのアキアカネが飛びかいます。そうです。赤いトンボ、アカトンボのことです。アキアカネが庭で飛ぶようになると、もうすぐ、夏も終わるんだなと思うのです。
 三面コンクリートをつかった直線的な深い側溝ではホタルは育ちません。今年は6月に雨が少なく、風の強い日が少なかったせいか、ホタルのあたり年でした。ホタルの乱舞する光景は、いつ見ても幻想的で、夢見る心地になります。
 大量の農薬によって多くの昆虫が姿を消しました。メダカの姿が見えなくなり、タガメが劇的に減ってしまいまった。またエサになるドジョウなどが減ったことから、サギ類も大幅に減少しました。わが家近くの田んぼにはアオサギがよくやって来ますが、ずい分減った気がします。山里に住んでいますから、ウグイスの鳴き声を聞くことができます。豊かな自然をたくさん子孫に伝え残したいものです。
 わが家は梅雨になると、緑色のアマガエルがなぜか門柱の上にあがっています。カエルも高いところから世の中を見たいのでしょうか。庭にカエルがたくさんいますので、当然のことながらヘビもいます。ちょっと気味が悪いのですが、わが家の守り神として、平和的に共存しています。
 今年は、わが家のすぐ下の田んぼが田植えされずに放置されてしまいました。いつかそうなると心配していましたが、ついに現実になってしまいました。60代半ばすぎのおじさんが頑張って米づくりをしてきましたので、いつも陰ながら応援していました。田んぼに水がはられていると、涼しさが違います。わが家にはクーラーがありません。いつも風通しを良くするだけで夏を過ごしてきました。文字どおりの水田になると、まってましたとばかりに蛙たちの大合唱が始まります。うるさいほどの鳴き声ですが、それもセミの声と同じで、いつのまにか慣れてしまいます。

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