弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年6月24日

緑の島に吹く風

著者:吉村和敏、出版社:知恵の森文庫
 カナダ東岸にある「赤毛のアン」の舞台、プリンス・エドワード島の写真と話が満載の楽しい文庫本です。残念ながら、私はまだ行ったことがありません。ぜひ一度は行ってみたいと思っています。
 ところが、写真家と巡るプリンス・エドワード島の旅というツアーを企画したところ、大当たりのつもりが、なんと9人の申し込みしかなかったというのです。驚きました。応募したのは全員女性でした。それはやっぱりねと思うのですが、それにしても、わずか9人だったとは・・・。よほど宣伝が足りなかったのでしょう。
 広い平原にポツンと建っている白い木造の教会はすがすがしさを感じさせます。川にそって、おとぎの国のような建物が並んでいます。紫色のルピナスが一面に咲き広がるお花畑があるなんて・・・。ルピナスはわが庭にも咲いてくれますが、何万本と咲いたら、それはそれは壮観な眺めです。
 冬になると一面の雪景色です。クリスマスツリーを玄関のところに飾り、建物全体を電飾で埋めている光景が紹介されています。今では、日本でもイルミネーションをする家をあちこちで見かけるようになりましたが、さすがに、この島では雪景色との取りあわせが絶妙です。ほんわか心が温まる気がしてくる写真です。
 しかし、なんといっても圧巻というか、心をホンワカさせてくれるのは、赤ちゃんアザラシの写真です。生後10日目という赤ちゃんアザラシの可愛い顔といったらありません。丸くて黒い大きな瞳が、こちらを「何してるの?」と見つめます。たれ目で笑っている赤ちゃん、ひっくり返って気持ちよさそうに氷原の上に寝ころんでいる赤ちゃんがいます。チョコンチョコンと手でつついて、現地の人がゴロンと半回転させても、その赤ちゃんはまだ眠っていたというのです。もちろん触っちゃいけないのでしょうが、ついつい触りたくなってしまう、そんな吸引力のある写真です。

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