弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年6月17日

僕の叔父さん、網野善彦

著者:中沢新一、集英社新書
 網野善彦は私の好きな歴史学者です。ともかく視点が目新しくて、問題提起が刺激的なのです。いつもハッと眼を見開かされます。
 『無縁・公界・楽』(平凡社)や『異形の王権』など、いくつも読みました。日本の歴史を底辺に生きる人々の生活からとらえすことを学ばされた気がします。百姓を農民ではなく、海辺で働く漁民や、船乗りをふくめるものという提起もあったと思います。
 ただ、私は、宗教学者としての中沢新一をなんとなくうさん臭い人物と思ってきました。中沢新一の本を読んだのは、これが初めてです。「コミュニストの息子」として育ったことの悲哀も語られていて、案外、まじめな人物だったんだなと見直しました。

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